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気を緩んだ彼の手をすり抜けて。
私は話を続けた。きっと今なら大丈夫な気がしたから。
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私、可愛くなりたいんです。
可愛くならなきゃダメなんです。
自信とかそんなの全然無くて、
浮所くんみたいにカッコよかったらいいんですけど
ああ、今みたいにこやってすぐへこたれちゃうけど
でも、可愛くなる努力をしてる時は、
それが報われたなって実感する時は、
こんな私でも私を好きになれるから。
可愛くなると、強くなれるんです。
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っは……!!!
今なら大丈夫とか言って後先考えずに言ってしまったけど
終始意味わからないこと言ってた自分……。
チラッと浮所くんを見ると少し口角を上げて、私を見ていた。
ひ、引かれた…絶対引かれた…。おしまいだあ、
可愛くなると強くなれるんです、とかなにドラマの台詞みたいな事
言ってんのよ私…こんなこと真美ちゃんにも言った事ないのに。
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「あ、すみません。えと…」
『もっと自信持てよ』
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穴があったら入りたいと思っていた矢先、
口を開いた浮所くん。
私が思ってもしなかった言葉で、驚く。
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『お前はお前が思ってる以上に、魅力で溢れてんだよ』
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泣きそうだった。
ずっとこの言葉を誰かにかけてほしかったのかと思うくらい
パズルのピースが全部そろうくらい
私にとってそれはしっくりくるものだった。
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「ふふ、ありがとう」
『あっ、いや、別にこれは……』
「いいの、分かってる。」
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今、浮所くんが言って事が全部本当かどうか分からないけど。
でも私を励まそうとしてくれのは本当だと思う。
浮所くんみたいな人に自信もってなんて言われると
あまりにも嬉しくて自己愛が強くなれそう。
なんだか浮所くんの言葉って他の人には無い、安心感がある。
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「ありがとう」
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もしも、私が世界中に嫌われたとしても
たった1人の君は私と一緒にいてくれる?
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『おう。つーか小テスト見たけどほんっと壊滅的だな』
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鞄を置いて小さいローテーブルに腰を下ろす。
この前借りたブレザーを脱いでワイシャツの袖をくるくる捲り、
右手で小テスト、左手でネクタイを緩めた。
息を飲むほど色っぽくて、目のやり場に困る。
と同時に、私はこれからやっていけるのか不安になった。
…って言った矢先すぐへこたれる。
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時