好きなのに。【狗巻棘】《完結》 (ページ6)

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５話ページ6

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『えッ、……ッ、』

階段から体ごと落ちていく。

事の発端は数分前＿＿＿＿＿

教室を出て階段をおりていた時のことだ。

階段の踊り場にある窓から風が吹いてきて。

手に持っていたジャージを落としてしまった。

階段の段の上に落としたジャージを拾い上げて叩いていると、

つるっ、

私の足が滑ってしまった。

なんせそちらに意識をしていなかったから。

何も出来なくて、そのまま落ちることしか出来なかった。

下には人なんていない。

このままだと骨折、いや、大怪我だ。

コケて落ちていくのが５段以内ならいいものの、

私が落ちたのは１番上から数えた方が早いだろう。

私はジャージを抱えたまま、体ごと落ちていった。

そして、没頭に戻る。

私は勢いで目を瞑る。

一時しても痛みが来ない。

恐る恐る目を開くと、狗巻先輩が私を支えてくれていた。

というよりかは、下敷きになってしまっている。

なんて事だ。

先輩を下敷きにしてしまうなんて。

『すっ、すみませんッ、

重いですよね、大丈夫ですかッ！？！？』

私がそう言うと、私の言葉にかぶせるように

「高菜、すじこッ！？」

と言ってきた。

お、おにぎりの具って本当なんだな……、、

『え、えっと、……ごめんなさい、何が言いたいのかさっぱりでして、…、、』

失礼承知の言葉だ。

「…………しゃけ、」

しゃ、しゃけ？？

私がまたうなされていると目の前には黒い綺麗なスマホ。

新品かと思うくらいの綺麗なスマホだ。

画面には＂大丈夫？怪我は？＂とうってあった。

『嗚呼、そういう事でしたか。

狗巻先輩のお陰で私は全然怪我してないです……！！

あの、狗巻先輩は大丈夫ですかッ！？

さすがに私が落ちてきたのでどこか打ったりなどは……、、』

「おかか、いくら、」

心配そうに伸ばした手を彼は払った。

汚いものを見るような目で。

嗚呼、私、嫌われたのかな。

＂別に心配しなくていいから＂

その言葉を残して彼は去っていってしまった。

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