時透兄弟を助けたら悪女に目をつけられました弐 (ページ4)

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参拾肆話ページ4

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走馬灯を見た。

上弦の零の攻撃が私に到達する寸前。
私はある走馬灯を見ていた。

＂「お姉ちゃん！遊ぼ！」＂

＂「かくりぇんぼ！」＂

＂「やらぁ、お絵描きすゆの！」＂

＂『うん、全部やろっか！』＂

私の家の近くにある施設。
そこは、親に捨てられた子供たちが住んでいる場所。

私はよく、その施設に顔を出していた。

＂「いつも悪いねぇ」＂

＂『いえ、来たくて来てるので』＂

＂「優しいねぇ」＂

＂『全くです』＂

＂「俺の自慢の妹だからな、優しくて当然」＂

＂『……！！お兄ちゃん！何でここに？』＂

＂「Aを追いかけてきた」＂

＂「仲良しさんだねぇ」＂

＂「だろ？」＂

＂『いえ、こんな曲がった兄を持って恥ずかしいくらいです』＂

＂「何だと？」＂

＂『本当のことでしょ』＂

＂「ふふ、本当に仲のいい事」＂

暖かい走馬灯。
私の暖かい思い出。

その瞬間、その思い出らが赤い炎で燃やされていく。

だんだんと。
燃え広がって。

終いには、黒い炭としてハラハラと落ちてしまった。

そして、落ちていく瞬間に見えた。
上弦の零のニヤついた顔。

それで、私は現実に引き戻された。

『…ッ、』

ヤバい、当たる。
＿＿＿＿＿＿死ぬ。

この攻撃に当たったら死ぬことくらいは悟っていた。

この距離は塞げないな。
今から呼吸を使っても意味ないだろうし。

……どうしようもない。

この時、私は諦めてしまった。

「……っち、邪魔者めが」

『……ぇ、』

善「Aちゃんを傷付けたら、俺は一生許さない」

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