絶対命令 ○○ri Sato

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舞台裏で、




統一した汚い服を渡されて、





きた人から相場に出される。





だから、私は逃げ道を探しながらゆっくり着替える。









着替え終わってしまった私は





近くにいた小さい女の子2人とともに






眩しいスポットライトの当たる魔の相場へ




歩き出した。







ーー


司会者が言う。



「さて、この子は9歳経験なし。皆さんどうですか⁉︎」




客席は結構近くて





客たちは舐めるように私達を見る。







…気持ち悪い。







その瞬間から値段が飛び交う。








「2万‼︎」






「2万5千‼︎」




「3万5千‼︎」







この後、その子は3万5千円で売られてしまい、




気持ち悪いおじさんに手を引かれ、会場を後にした。






私の隣の女の子は






ガタガタ怯えている。







自分もそうなっておかしくないはずなのに、






その子を慰められる私は





心のどこかに






余裕があるのかもしれない。





「怖いよね。でも、逃げるんだよ?」






そういった時、司会者がその子の肩を掴んで話し始めた。






「この子は10歳経験なし‼︎皆さんどうですか⁉︎」






10歳の女の子に






逃げられるわけがない。







そんな声しかかけてあげられないなんて






偽善者だよね。私。








「2万円」





「3万」





「六万‼︎」






「では、6万で‼︎」





その子は6万円で売られてしまった。






命は、6万円で買えるものじゃない。






私たちに




人権という言葉は





もう、存在しない。

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