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耳にこそばゆさを感じてすぐ、全身にかけられていた力が抜けていき温かさも離れていった。夢だったのか、という思考が横切ったが、残った微熱がそれを砕いた。これは事実だ、と突きつけた。


私は空閑くんに長々とキスをされ、抱きしめられ、大丈夫だと励まされたと。


時間も遅い。早く帰れよ。


後頭部にあった手が、私の旋毛部分をくしゃっと撫でた。


遠ざかっていく彼の背中。私はなにかしなければならない気がした。なにかを問わなければならない気がした。しかし体は動かなかった。頭が回らなかった。


「また悩んだらここへくればいい」


好きな女子が不安になったら、何度だって同じことをする。俺だったらな。


それだけ言い残して、彼はバイクのエンジンを回した。同時に私の頭も回る。なにを問わなくてはならなかったのか、すぐにわかった。


「ちょっ空閑くん! どういうーー」


私の叫びも虚しく、彼はたくさんの車の中に紛れてしまった。第一、車道へ走り出した時点で勝ち目はない。もっというと、相手はバイクなのだから勝ち目などとうの昔に旅に出てしまった。


公園内はなにも残っていなかった。
唯一残っているとしたら、明るい町に負けまいと地面を照らしている三日月だけだった。


彼女の中に残っていた微熱は、彼女にしかわからないような暗号となって方眼紙の上に残されていた。




〜fin〜

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瑞絋(プロフ) - 芦葉奏さん» 話自体は本当に面白かったですしこれからも頑張って下さい! (2017年6月13日 12時) (レス) id: 0c0ed676de (このIDを非表示/違反報告)
芦葉奏(プロフ) - 瑞絋さん» 読んでいただき本当にありがとうございました(*´▽`*)「〜た」が多いのは私も今悩んでいて、改善しようと思っているところなんです笑 やっぱり端から見てもそう思いましたよね……。批評ありがとうございました! 頑張ります!(*^▽^*) (2017年6月12日 21時) (レス) id: dc97fafdcc (このIDを非表示/違反報告)
瑞絋(プロフ) - 読ませていただきました。個人的に面白かったです、キャラがどんな感じかはっきりわかりますし主人公とキャラの性格の違いがうまく表現出来ているな、と思いました。強いて言えば、「〜た。」が少し多い気がしました。気がしました (2017年6月12日 19時) (レス) id: 0c0ed676de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:芦葉奏 | 作成日時:2017年5月28日 0時

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