Ep.67 ページ24
———そうだった。
思い出す。
私が呪術師になったのは、自分の周りの人が生きていて、自分が死ぬと悲しむ人がいると分かってなお、その人達に―――陣平くんに、笑っていてほしいという、とても綺麗事とは言えない、それを通り越したエゴなのだった。
他はすべてを切り捨てたってかまわないから、自分の手に収まる範囲、大切な人だけは、何があっても絶対に生きていてほしい。
そういう、エゴ。
「仕事について、詳しいことは言えないの。守秘義務があるから」
「まぁ大体わかる。
「明日、もしかしたら死んでるかもしれない」
「お互い様だな。お揃いだ。ペアルックだと思え」
「なにそれ」
巻き込むことになるんだろう。
呪われた世界のいざこざに、呪いの凄惨な事件に、巻き込んでしまう時がくる。
でも。
『それは、どちらの意味で?』
七海くんが私に返した疑問を思い出す。
あの答えのもう一つの取り方は、きっと―――巻き込んだとしても、守り切るから、大丈夫。
守り切れる自信があるかと言われたら、それはあるとは言い切れない。私は最強なんかじゃない。
でも、陣平くんが共に生きて、私を
私は彼を絶対に守りきり、易々と死んだりはしないと誓ってみせる。
サングラスの隙間から覗く澄んだ水色を見つめて、私は彼の手を握り返した。
―――だれかの隣で生きるということに、呪術師という肩書きは、すぎた重荷だ。
そう思っていたし、思っている。
それは険しい道である。
これまでも、きっと、これからも。
でも
「わたし、絶対死なないし、離さない。逃げたって、捕まえに行く」
約束されない明日だとしても
「おう、そん時は待ってるぜ」
あなたが隣で
「うん………だから」
―――きっと、この手を離さないで。
Fin.
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やなり(プロフ) - トマトまとさん» 温かいお言葉をありがとうございます!(T-T) 拙作を好きだと言っていただけて本当にうれしいですし、トマトまと様をときめかせることができたようで良かったです(*^ω^*) こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年12月13日 14時) (レス) @page28 id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!最終話を読んで、裏設定を読んで、更にこの作品が好きになりました。愛っていいなぁと思うお話で、キュンキュンしながら読ませていただきました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年12月11日 13時) (レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - 愛実さん» お待たせしました!!最終話を更新いたしました。楽しんでいただけたらうれしいですm(_ _)m (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - そらさん» ありがとうございます!大変遅らせながら、最終話を更新しました。楽しんでいただけたらうれしいです(*´꒳`*) (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - めちゃ続き気になる…、!!!更新待ってます!!無理しない程度で頑張ってくださいッ! (2022年10月6日 18時) (レス) @page23 id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなり | 作成日時:2022年8月4日 14時