Ep.60 ページ17
陣平くんを覆うように結界を張った。これで心置きなく戦える。
得物を構えて突っ込む。術式か何かでニードルのようなものを飛ばしてきた呪霊を交わし、跳んで一回転、地面に着地して、半身をひねり呪霊の腹を引き裂いた……が、傷が浅い。クソ、コイツ硬い。
次の攻撃に備えて構えたが、呪霊は何もしてこない。警戒を続けたが、何を思ったかそいつはちらりと自身の背後を見やり、後退。
部屋の扉の外に出て行った。
は!?嘘だろ逃げたアイツ!!
ここで逃がすわけにはいかない。すでにかなりの犠牲が出ているのだ。見逃すという選択肢はミリほどもなく、しかし―――反射で追おうとした私に降ってきた怒号が、その足を止めた。
「A!行くな!!」
その声には、確かに焦りと苛立ちが含まれていたように思う。
わかっている。幼馴染だもの。この怒号に含まれているのはそれだけじゃないって、私を心配してくれているんだって。
けれど、そんなことにかまっている暇はないのだ。ここで祓い損ねたら、あとにどれだけの被害が出ることか。私は止まらなかった。背中に怒号が続く。
「わざわざ追う必要ねぇだろ!死ぬぞ!!」
「……っあるよ!!!」
わざわざ追う必要なんかない。
わざわざ死地に赴く必要なんかない。
それは、私が陣平くんに対しても、
でも、あなたは警察官だから。事件が起きたら、現場に行かなくちゃいけない。それが仕事だからだ。
私だってそう。呪術師だから、呪霊が出たら、呪いの被害が出たら、それが自分の手に多少余るような事案であったとしても、できることをしなくてはならないのだ。
……なんて、言えるはずがないんだけど。
「……それ、タイマーがあるってことは時限付きでしょ。私がアイツ追うから、陣平くんは早くそれ解除して」
私は、返事も聞かずに部屋を飛び出した。
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やなり(プロフ) - トマトまとさん» 温かいお言葉をありがとうございます!(T-T) 拙作を好きだと言っていただけて本当にうれしいですし、トマトまと様をときめかせることができたようで良かったです(*^ω^*) こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年12月13日 14時) (レス) @page28 id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!最終話を読んで、裏設定を読んで、更にこの作品が好きになりました。愛っていいなぁと思うお話で、キュンキュンしながら読ませていただきました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年12月11日 13時) (レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - 愛実さん» お待たせしました!!最終話を更新いたしました。楽しんでいただけたらうれしいですm(_ _)m (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - そらさん» ありがとうございます!大変遅らせながら、最終話を更新しました。楽しんでいただけたらうれしいです(*´꒳`*) (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - めちゃ続き気になる…、!!!更新待ってます!!無理しない程度で頑張ってくださいッ! (2022年10月6日 18時) (レス) @page23 id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなり | 作成日時:2022年8月4日 14時