【立海】私の理想は現状維持 3 (ページ10)

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ワカメ「どういう意味だよ今の」

貴「だからぁ、アンタがテニス下手だからこっちにボールが飛んできたんでしょっつってんの」

ワカメ「……俺に喧嘩売ってんのか？」

貴「だったら何？」

半睨みで私がそう言い返した直後、ワカメはまた私の方に歩いて迫ってきた。

反面私は後ろに下がるも、数歩歩くと背中がフェンスにぶつかるカシャンというなんとも虚しい音が響いた。

それと同時に、ドンッという鈍い音と共にさっきよりも大分ドアップになったワカメと、私の腰元の直ぐ隣にあるワカメの右足が目に入った。

ワカメ「アンタ、潰すよ？」

そんな睨まれても。
言っちゃえば、ワカメって周りに比べれば群を抜いて童顔だし全然怖くないんだよね。

それよりも仁王といいこのワカメといい、なんなんだ。
ソファに追いやったり壁に追いやったり…………テニス部信者に見られたら一発で打首くらいそうだ。

なにも私は好き好んでこの体制になったわけじゃない。
私は寧ろ今ここで目の前のワカメの腹に蹴り一発くらい入れてやりたいもんだ。

……まあ、“一応”大事な選手に仮にもマネージャーである私がそんなことできるわけないけどね。
残念。

ワカメ「なんだよ！さっきまで大口叩いてたくせに今度はだんまりか！」

馬鹿にしたように笑うワカメに段々と怒りが増していく。

貴「弱い犬ほどよく吠えるって言葉知ってる？」

ワカメ「はあ！？」

急に大声をあげたかと思えば私はいつの間にかワカメに胸ぐらを掴まれていた。

流石に今のは嫌味が過ぎたか……と、反省しなくもない。
タダでさえこのワカメは沸点低そうなのに。

ワカメ「おい！｣

柳「やめろ赤也」

ワカメ「っ…柳さん」

横から現れた柳が肩を掴んだ事により、ワカメは一時停止した。

嗚呼、良かった。
このままだったら私が何されるかわかんないし、逆に私が何するかもわからなかった。

柳「落ち着け赤也」

ワカメ「でも柳先輩っ！」

柳「いいから落ち着け」

柳の言葉にワカメは私をひと睨みしてから胸ぐらを離した。

柳「赤也、何か言う事があるんじゃないか？」

ワカメ「……」

柳「赤也」

ワカメ「ああもうわぁーったっスよ！！！スイマセンデシタ！！！これでいいすか柳先輩！！！」

柳「まあいいだろう。練習に戻れ」

ワカメは私にカタコトで謝ってからプリプリして練習に戻って行った。

貴「何か、柳って凄いね」

柳「赤也の扱いには慣れてるからな」