その隊士は鬼【鬼滅の刃】 (ページ6)

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「A、良くやった。最終選別に行くことを許可する」

師範の地獄のような特訓を毎日こなし、早一年。

私は最終選別に行くことを許可された。

私は日の下に出られると言っても一日半刻までが限界だから基本稽古は夜だった。

昼は寝て夜は稽古。

同じように生活を合わせてくれる師範にはとても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

だから一度だけ私が師範の身体に障るから夜ではなく昼に稽古をしてほしいと言った。

でも師範は年寄りを馬鹿にするな、お前さんにできることはわしにもできるわいと言って夜に稽古をすることを譲らなかった。

普通であれば人間は寝ているはずの夜にも関わらず、師範は欠伸一つせず、私に稽古をつけてくれた。

感謝してもしきれない。

最終選別は一月後に藤襲山で行われるらしい。

師範の弟子だと胸を張れるように精一杯頑張ろう。

「ありがとうございました。師範」

それから一月が過ぎた。

今日は最終選別。

藤襲山に着いた私は緊張していた。

私にできるだろうかと不安だった。

心の中で何度も何度も大丈夫と繰り返す。

私は今まで自分のできる全てをやった。

素振りも打ち込みも全集中の呼吸も全部。

師範がもう大丈夫と言ったんだから大丈夫。

その言葉を繰り返すことで落ち着き余裕のできた私は辺りを見回した。

藤の花に囲まれたこの場所には20～30人が集まっていた。

私はその中の二人組に目を引かれた。

狐の面をした二人組だった。