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おーいと声をかけながらみんなの目の前で手を振ってみる。
そうするとようやく蟲柱さんが立ち直った。
そして動揺がよく伝わる震える声で私に尋ねる。
「なぜ…、なぜ…日の光で死なないのですか?」
日の光?
…あ、そうだった。
普通の鬼は少しでも駄目なんだっけ。
すっかり忘れてた。
日の光が弱点と言えども自分が少し大丈夫だからってその物差しで他も見てしまうのは良くない。
反省しないと。
「伝えるのをすっかり忘れていましたが、私は普通の鬼と少し、…それなりに、いや割と鬼になった方法が違うので、少しなら日の光に当たっても問題はないんです」
申し訳ないと謝りながら私は事実を話した。
その話を真剣に三人は聞く。
「…まさか、そんな鬼が存在するなんて」
聞き終わると三人は日の光で死なない鬼がいるという事実に考え込んでしまった。
そして訪れる長い沈黙の時間。
そんなに考えていたら本部に着くのが遅れてしまうのではないだろうか。
そう考えた私は三人に声をかける。
「あの、こうなったのは私が悪いんですけど、そろそろ出発しません?」
まだ早朝なのにも関わらず日が暮れるのが目に見えるのですよ。
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大正コソコソ噂話
錆兎がはっとしたように振り返ったのは、Aが鬼であることを忘れて先に日の下を走り出してしまったからです。
つまりはAを心配して慌てたのです。
Aが蟲柱さんにどのくらい時間がかかるか聞いたのは日に当たっても問題ない時間を超えないかを確かめたかったからです。
余談ですがAは隊士となってから日の下に出ることが多くなり、一日に半刻から一刻半まで日の下に出ても大丈夫になりました。
義勇、錆兎はAと任務で一緒になるものの、日が出ている間に会ったことがないため、Aが日に当たっても平気なことを知らず、とても驚きました。
Aは柱の噂は耳にするものの、名前や何柱なのかを知りません。
ただし例外として義勇が水柱だと言うことは本人から言われたため知っています。
そのような感じであるため、しのぶさんの呼び方が蟲柱さんなんです。
もちろん名前が分かればちゃんと名前で呼びます。
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作者名:そらしろ | 作成日時:2020年12月31日 15時