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「あなたは鬼ですか?」
ご名答。
先程まで妹の鬼に気をとられて気付いていなかったようだが、やはり柱にはバレるらしい。
「鬼だったらどうしますか?」
バレてしまったものの私は頷くことはせず質問を返す。
その質問に蟲柱さんは考える間もなくすぐ答えた。
「鬼は倒します」
惡鬼滅殺の文字がキラリと輝き、蟲柱さんは一瞬で私に斬りかかって来たが、錆兎の刀に阻まれてしまった。
刀と刀がぶつかる鋭い音が響く。
「A、逃げるんだ」
錆兎は蟲柱さんを凝視しながら私に逃げるように言った。
「逃げろ」
義勇も刀を構えていた。
「その必要はないかな」
でも私に逃げる気など微塵もない。
だって蟲柱さんに負けるわけがないから。
「…A!!」
錆兎が私を説得するように名前を呼ぶ。
しかし私は歩き蟲柱さんの前に行った。
「蟲柱さん。拝見する限り、あなたは鬼の首が斬れないようですね。その代わりに毒を使う。しかしそれでは残念ながら私には勝てません」
「馬鹿!挑発するんじゃない!」
錆兎はその場で私に怒鳴り、義勇は驚いて固まっていた。
蟲柱さんのこめかみがぴくぴくと動き、額には青筋が浮かび上がっている。
相当お怒りのようだ。
「…Aさん、と言いましたね。私があなたに勝てないということはどういうことなのでしょう」
「そのままの意味ですよ」
「では、私があなたに本当に勝てないのか試してみましょう」
言葉を私が聞き終えるよりも早く蟲柱さんは動き出した。
さすがは柱。速い。
私が並みの隊士であったら目で追うことなど不可能だ。
そして蟲柱さんは私に向かって技を繰り出した。
「蟲の呼吸、蝶ノ舞、戯れ」
蟲柱さんの素早い技が私を倒そうと迫ってくる。
しかし私はその技をあえてよけなかった。
私の額と首に赤い線が走り、液体が輪郭をなぞっていく。
「A!」
錆兎と義勇が私の名前を叫んだ。
私は身体の中にある毒を調べる。
なかなか良い毒だ。
よくできている。
これなら下弦以下の鬼を倒すことが可能だろう。
でも残念ながら私には効かない。
「…何故死なないのですか」
しばらくして蟲柱さんは口を開いた。
いつまでも死ぬことない私を見て蟲柱さんは動揺しているようだ。
錆兎と義勇も驚いて目を見開いている。
「それは…私が藤の血鬼術を使えるからですかね?」
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作者名:そらしろ | 作成日時:2020年12月31日 15時