来日2 ページ42
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時間はあっという間にすぎた。ラストの曲を終えたAは汗だくで、疲労困憊で、しかしアドレナリンが出ているのかまだまだやれる気でいる。
ありがたくアンコールをもらったAは、右手の人差し指と親指で輪っかを作り、他の指を上に伸ばす。左腕で顔の汗をぬぐったAに悲鳴にも似た歓声があがった。
ぽん、ぽんぽんと本日何度目かもわからない花が咲く。
Aはマイクを片手にステージに腰をかける。アンコールのためのステージを整える場繋ぎだ。
突然距離が近づいた前列のファンは、声にならない叫びをあげる。面白がったAは、新しいタオルで汗を拭いてから片手を上げてハイタッチを催促した。
ステージ上のモニターでAのファンサを確認したデクは「ファン殺し……」と震える。
「『おれ、今めっちゃ楽しい』」
準備のできたステージに戻ったAが、マイクスタンドに手持ちのマイクを嵌めながら笑った。
「『最後の曲は録画可能だぜ。今日しかできねーから、SNSでおれのこと、全世界に広めてくれよな！』」
モニターに日本語で"録画可能"の文字が映る。その言葉にファンたちはざわめきながらもスマホを取り出した。
Aはこの日以外にも日本でのライブを控えている。しかし今から歌う曲は今日限定だと言われれば、デクもスマホを構えるしかない。
エレキギターに持ち替えたAのアイコンタクトでドラムが鳴る。始まったのは、デクたちが1年生のときに文化祭で披露したあの曲だった。
思わず固まるデクたちに、確かにAがこちらを見た。
「『バクゴー！！』」
「は！？」
ドラマーが役目は終えたと言わんばかりに袖に捌ける。
唖然とするファンたちを置いて、Aはマイク越しに爆豪を呼んだ。前奏は数小節しかない。爆豪の返事を待たずに、観客側へとAはスティックをぶん投げた。どよめくファンたちへスティックが落ちる前に回収し、爆豪は"個性"を使用してステージにあがる。
轟がエンデヴァーに視線をやるも、「聞いてないぞ！？」と困惑を露わにする父親しかいなかった。これどうなるんだろう。デクは顔面蒼白だ。
「『早く！崩れるだろ！』」
楽しいと全身で伝えてくるAに爆豪は座る以外なかった。
文化祭以降ドラムに触っていないが、爆豪なので関係ない。完璧に叩き潰してから問いただしてやらァ！と目を吊り上げながら爆豪はスポットの光を浴びた。
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緑猫(プロフ) - ねこさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございました！ (2021年9月28日 22時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございました (2021年9月28日 15時) (レス) id: 0e99721aee (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - nanoka(*´∀｀)さん» コメントありがとうございます！リクエストもありがとうございました！いつでもいらしてください！ (2021年9月7日 10時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀｀)(プロフ) - まず、完結おめでとうございます！ついつい何度も読み返しちゃいます。リクエストのもありがとうございます！お疲れ様でした！！ (2021年9月7日 0時) (レス) id: 36fe9cda9a (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 枝豆オタクさん» コメントありがとうございます！とっても嬉しいお言葉です…！ぜひ、またいらしてください。 (2021年9月6日 19時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年8月24日 18時
