15話 ページ15
＊
サイレンの音がひとつやふたつでないことに気づいたAは、業務の邪魔にならないように観客たちを誘導した。
しかしあまりに多い人々の群れに、完全に場所を開ける前に何台ものパトカーが到着してしまう。ただごとではない様子に、Aは取り囲まれている人物を見た。
「ロ」
親友だった。
「ディ」と続くはずだった言葉は、警官たちが構えた銃に阻まれる。なんだ。なにがおきている。凶悪犯かと人々が暖色のジャケットを纏う少年に注目した。
「両手を上げて、その場に伏せろ！」
ロディは震える足がもつれて尻もちをついた。犯罪を犯している意識はあるが、命を狙われるほどのことはしていない。恐怖でケースから手が離れなかった。
たまたま聞こえた、何年かぶりの親友のハイトーンボイスに酔いしれていた数分前に戻りたいと心から願う(顔は見えなかったが声がAだったとロディは確信している)。
急展開に、宝石泥棒の一員だと"勘違いし"ロディを追いかけていたデクが説明しようと前に出る。
この辺りでは見慣れないヒーローにも、Aの視線は向かなかった。親友が何をしたのかAには知る由もない。もしかしたら、後戻りできないことをしてしまったのかもしれない。
しかし、ロディにはそれをする理由があることをAは何年も前から知っていた。世間一般的に人として犯してはならない罪だとしても、Aはロディが間違っているとは思わない。
黙って目の前でたいせつな人を殺させるわけにはいかないと、Aはロディに近づきたかったが、自身のファンの壁に思うように動けずにいた。
「何もとってねーから！」と逃げ出すロディに、許可は出ていると警官たちが発砲した。非日常の暴音にあちこちから悲鳴があがる。Aは咄嗟に駆け出していた。
しかし、ロディが撃たれることはなかった。見知らぬ緑のヒーローがAの親友を抱えて跳躍したからだ。あっという間に射程距離を出たロディたちに、警官は慌ててパトカーを動かした。
混乱と銃痕を残して、突然の乱入者たちはひとり残らず立ち去って行った。
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緑猫(プロフ) - ねこさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございました！ (2021年9月28日 22時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございました (2021年9月28日 15時) (レス) id: 0e99721aee (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - nanoka(*´∀｀)さん» コメントありがとうございます！リクエストもありがとうございました！いつでもいらしてください！ (2021年9月7日 10時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀｀)(プロフ) - まず、完結おめでとうございます！ついつい何度も読み返しちゃいます。リクエストのもありがとうございます！お疲れ様でした！！ (2021年9月7日 0時) (レス) id: 36fe9cda9a (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 枝豆オタクさん» コメントありがとうございます！とっても嬉しいお言葉です…！ぜひ、またいらしてください。 (2021年9月6日 19時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年8月24日 18時
