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何ら変哲もない領収書のサインでも、推しの直筆とあればオタクにとってそれはサイン色紙と同等である。

手軽に動かせる印刷機のないこのテイワットでは書類の文字のほとんどが手書きである。そしてここは運送会社であり、様々な方面の人物の文字が毎日行き来している。その中でも特に多いのが教令院だ。

ここは荷運び以外にも、提供している企業への受注の仲介もしている。数は少ないがモンドやフォンテーヌ等の物資も取り扱っている。遠ければ遠いほど手数料は多くはなるけれど、学生にとって時間は惜しいものであるがゆえ、こちらはとても儲かっている。私の給料は定額だから関係は無いが。

教令院は数々の学派があり、それぞれが全く異なる分野のため、研究に必要な物資が180°違う。だから教令院からはいつも大量の発注書が届く。何ら変わりない風景だった。

A(うわぁ…もしかして今日はラッキーなんじゃない?)

教令院からの大量の書類を仕分けしている際、書記官が書いたと思われる注文表を見つけた。

彼らしい綺麗で丁寧な文字で書かれた書類の内容は、手紙を出す際の切手と宛先用紙の大量発注だった。普段なら事務員の人が買いに来るはずなのだが、確かにこの量は業者に頼みたい量だと納得した。教令院はお得意様ということもあり、こういった細かい配達は定期的にサービスしている。

注文内容によると、出来るだけ早く届けてほしいらしいが、しかし、今は配達員が全員出払っておりここには窓口係と総務しかいなかった。

総務「教令院までならすぐだし、君が行ってきてくれないかな?配達員も今日は荷物が多くて運べないと思うんだ」

総務「帰ってくる頃には定時になるだろうし配達が終わったらそのまま帰宅してくれていいよ」

今日は厄日だったかもしれない。

じわりと背中に汗が滲む。確かに教令院は荷台を使って少し歩いたら楽に運べる距離にある。それに荷物に反して人員が少ない際、私も何度か足を運んだことがある。だから場所が分からないとか、そういう不安がある訳じゃない。

A(私…自分からアルハイゼンに会わないといけないんだ……)

荷物は原則注文した本人に届けなくてはいけない。つまりそれは私が勤務中の彼の元に直接判子をもらいに行かなければならないということだ。

これまで私は極力キャラクター達に会わないよう気をつけてきた、そして自分からは決して近づかないよう。それが今、仕事という受動的な要因によって瓦解されることになる。

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しいすけ(プロフ) - かなり面白かったです!文章がすごく好みでした。ゆっくりでもいいので、次話の更新楽しみにしています。 (1月12日 0時) (レス) id: b4ab387ec9 (このIDを非表示/違反報告)
テスト2 - あ (12月28日 9時) (レス) id: b93e860056 (このIDを非表示/違反報告)
テスト - あ (12月28日 9時) (レス) id: b68cd99f0e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:稲穂 | 作成日時:2023年11月8日 2時

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