狼青年にはご注意を。2

97 ページ48

・

裕「千世と…約束したのにっ」





あ「……なにを？」





裕「俺は逃げたんだ、俺は弱いただの臆病者だよっ…」








声を振り絞るように
震えながら、呼吸を乱しながら…









裕翔は、



俺は弱い、臆病者だ、



自分を罵りただ涙を流すばかり

・









・









・









・

私はポケットから、お姉ちゃんの手紙を出した






そして、震える裕翔の手を掴んで渡す









あ「…お姉ちゃんの手紙に裕翔の名前があったの」






裕「りょう、すけへ…？」






あ「そう…覚えてる？」






裕「名前も顔も覚えてないから分からない。」

・









・









・









・

裕翔は、

深呼吸をして、

手紙の内容を見ていた








裕「……………………っ」








徐々に徐々に、


手の震えは小刻みに早くなっていく＿＿＿＿

・











・









・









・

裕「ちよっ、……………」






あ「裕翔…これは事実…？」







裕「………はあ…っ」

・









・









・









・

裕翔はゆっくりと立ち上がり、
私も裕翔と向き合い、立ち上がった









真剣な眼差し、

微かに震える唇









張り詰めた空気の中

ゆっくりと口を開いた

・









・









・









・

裕「…俺は数年前まで狼に化けた人間だった。」






あ「…………………」






裕「ここに書いてあるのは紛れもない事実だ。」

・

98→←96

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す