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涼「この世にいる人全員心はいい人なんてさ、そんなお人好しな事考えてたら生きていけねえぞ」



あ「そうじゃない…私はただ…」



涼「…………………」



あ「その人にも何か理由があるんだと思うんだよ」






もしも、
本当にもしも裕翔がそうだとしたら、
確実に何か理由があるはず
あの優しさは決して偽りじゃない、
そう信じたいから

































キッと睨みつけられたかと思えば__



カバッ



あ「きゃっあっ…」






ものすごいスピードで私の体を覆い被さるような状態に、
その振動で忘れていた体の重さとだるさが一気に襲った





真上にいる彼とはもう今にも触れてしまいそうな距離
見下ろす冷たい視線と長いまつ毛は、
私の鼓動を一層早くさせる









涼「俺だってお前の事騙してるかもしんないんだぞ」



あ「え………」



涼「ただの獲物としてお前に近づいてるだけだったら?」



あ「んっ…」







首筋を舌が這った






あ「そんなわけ…ないっ…」








彼の悔しそうな、
過去を恨んでいる表情は、
本当に私と重なって、こういう強さの中に臆病な心が隠れてるんだって思った

































真実が知りたい





涼「だからすぐそうやって信じ過ぎんな」





彼の顔は怒っていた
きつい顔で私を睨んでいる








涼「だから傷つくんだろ」




あ「あなたの事は信じるって決めた、だからその人の事も…」




涼「黙れ」




あ「いっ……!」






突然、首元に激痛が走る
血が抜けていくような気持ち悪い感覚
熱のせいか、彼が怒っているせいか
いつもに増して痛みが強い







でも、今日は気を失うことは無かった
ゆっくり目を開けて彼の方を見ると、
彼は悲しそうな愛おしそうな顔をしていて、
やっぱり重なってるんだ、
いや自ら重ねているのかもしれない

































彼の口元は真っ赤に染まっている
まるで本物の獣のように、
目を赤く光らせ、
鋭い目つきへと変わっていた









でも、
私の顔を見て、
ハッと我に返ったように血だらけの首筋を舐めた後、






涼「あんま信じるな」



あ「…………………」



涼「もうあの時みたいな事は起きて欲しくない」








顔を歪めて切なそうに、
掠れた彼の声が響いた
弱くて臆病な姿に変わる

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涼乃(プロフ) - ほのさん» ほのさんありがとうございます!完結まであとちょっとですので是非最後までお付き合いください!! (2021年3月4日 0時) (レス) id: d580f0ae08 (このIDを非表示/違反報告)
ほの(プロフ) - 続きがきになります、続編たのしみ!!! (2021年3月3日 23時) (レス) id: 9be55037a1 (このIDを非表示/違反報告)
涼乃(プロフ) - れっしーさん» れっしーさんありがとうございます!!完結までお付き合い頂けたら嬉しいです(;;) (2021年3月3日 9時) (レス) id: d580f0ae08 (このIDを非表示/違反報告)
れっしー - とても面白いです!これからも頑張ってください! (2021年3月1日 16時) (レス) id: aa496b1864 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:涼乃 | 作成日時:2021年2月15日 22時

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