【文スト】言霊少女2【太宰治】

第83話 ページ41

「何とかくの如き佳麗なるご婦人が若き命を散らすとは、、！なんという悲劇！悲嘆で胸が破れそうだよ！どうせなら私と心中してくれれば良かったのに！」

「Aちゃん、太宰さんいつもあんな感じなの？」

『ん、最近は心中がいいって』


警察の痛い目を気にせず太宰は悲嘆し続ける。そして、ばっと、江戸川の方へ向く。


「しかし安心し給えご麗人。稀代の名探偵が必ずや君の無念を晴らすだろう！ねぇ乱歩さん？」

「とこらが、僕は未だ依頼を受けていないのだ。名探偵いないねぇ。困ったねぇ」

『乱歩。推理ゲームは？』

「お、いいね。面白そうだ」


うーん、、と江戸川は唸りながら周りの警官を見渡す。そして1人の若い警官を指差す。


「君、名前は？」

「え？、、じ、自分は杉本巡査です。殺された山際女史の後輩ーーーであります」


スタスタと、軽やかに江戸川は歩いて行き、肩にぱしっと手を乗せる


「よし杉本君。今から君が名探偵だ。60秒でこの事件を解決しなさい！」

「へぇっ！？」

『乱歩、！いくらなんでも、、！！』


警官も、Aも同じことを思ったのか、あたふたする。しかし、江戸川は気にせずカウントダウンを続ける。


「そ、そうだ！山際先輩は政治家の汚職疑惑それに、マフィアの活動を追っていました！そういえば、マフィアの報復の手口に似た殺し方があった筈です！もしかすると先輩は操作で対立したマフィアに殺されーーー」

「『違う/違うよ』」


太宰と、Aの声が妙に澄んで聞こえる。
周りの人間は二人を見た。先ほどまでの巫山戯た雰囲気はなく、何も写さないような冷たい目をして話す。実際に、特定の誰かに向かっていってるわけではないのだろう。


「マフィアの報復の手口は、身分証と同じだ。細部が身分を証明する」

『裏切った人に敷石をかませてから、頭を蹴って顎を破壊』

「激痛に悶える犠牲者をひっくり返して胸に３発」


中島は、悲惨な報復の仕方にうぇっと、小さく悲鳴をあげる。
Aは、いつのまにか太宰の隣にいた。


「確かに、正確にはそうですが、、」

「この手口はマフィアに似ているが、マフィアじゃない」

『つまり、、、』

「犯人の偽装工作、、！！」


偉そうな服を着た警官が呟いた。


「そんな、、偽装のためだけに意外に二発も撃つなんて、、非道い、！」


皆が偽装工作と理解し、下を向いた。


「ぶー！！！」


江戸川の声が、河原に響いた。

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