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さっきの出来事が噂にでもなれば
あっという間に広がるに違いない。
どうしたらいいんだろう。
このままだと涼太に嫌われちゃうかもしれない……
結局どうしていいのか分からないまま
図書館に行くと、
「遅いぞっ」と言って楓が出迎えた。
「A大丈夫？」
けれど、汗だくの私の顔を見るなり
声のトーンが下がった楓。
楓「とりあえず座りなよ」
私を落ち着かせたところで、楓が
パックのジュースを一口飲んでから
顔を上げた。
楓「もしかして、Aなんかあった？」
横目で私の姿を窺ったりして、
なかなか鋭い。
楓「その目はなんかあったな」
楓が、好奇心たっぷりの瞳を私に向けた。
「ん、っと……」
とりあえず今は、
頭の中を整理しなければいけない。
そもそも私が楓たちを誘ったのは
赤点から逃れるためで。
それは
涼太に嫌われないようにするためで。
そのまてにはまず、
解決しなければならないことがある。
さっき学校で、ぶつかった『彼』
が誰なのか？
ってことを。
「さっきね。校門出たところで」
楓「うん」
「石ころでつまずいて、メガネを落としたんだ」
楓「はぁ？」
ハプニングを告白する私へ
楓は半音高い声を上げて。
さっきから黙って会話を聞いていた
希ちゃんは、心配そうな表情を
こちらに向けた。
「で、メガネを探してたら遅くなっちゃって」
遅れた理由を話した途端、
楓は「あー」と、
呆れたような顔をする。
その先の恥ずかしい出来事は、
いくら二人にだってどうしても言えなかった。
その代わりに『アラン』と呼ばれた彼のことを
それとなく尋ねてみた。
「……うちの学校に、『アラン』っていう男の子、いるかな？」
二人の顔に、クエスチョンマークが
浮かんでいるように見えた。
楓「うちの学校に……アラン？」
楓が、眉間にシワを寄せている。
希ちゃんは、なぜか私へ視線を向けたまま
ピクリとも動かない。
楓「アランって名前？あだ名？」
「わかんない」
楓「わかんないって、うちの学校の生徒なんだよね？じゃ学年は？」
「えっ？」
もちろん、そんなことも分かるはずなくて
「さぁ？」
楓「さぁ………！？」
曖昧すぎる返事に、
楓がとうとう声を大にした。
楓「アランだけで分かるわけないじゃんっ。しかも、先輩か同級生かもわかんないなんて」
「……ごめん、そうだよね」
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作者名：ゆーか
| 作成日時：2018年1月16日 21時
