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焼けるように熱い体を起こして
立ち上がった亜嵐。
「バイト……？」
フラフラ揺れている亜嵐の体へ
両手を伸ばして止めた。
「ちょっと待って。そんな体でバイトなんて無理だよ」
亜「……っ、俺のことは……
ほっといてくれよ……」
「病院へ行かないなら、せめて家で
寝たほうがいいよっ」
ドアに向かう亜嵐を必死で止めた。
亜「……俺は金のためなら何でもするって
言っただろ。そこ、どいで」
それでも私の手を振り払おうとする亜嵐に
食らいついてから
『ダメっ』を繰り返す。
涼太にさえ
こんなに必死になったことなんてない。
「ダメっ、絶対にダメ」
もう自分でも何をしているのか
よく分からなかった
亜「いいから離してくれ！」
「病院へ行きたくないんでしょ！
……お金を使いたくないんでしょ！
だったら今日だけでも休んでよっ。
酷くなったら本当に入院しちゃうよ？
そうしたら、結局もっとお金がかかっちゃうでしょっ」
音のない部屋が
さらに静まり返っている。
力いっぱい亜嵐にしがみついて
食い止める私には
たった数秒間が何時間にも感じられて
しだいに両手が痺れてきた。
「くっ」
歯を食いしばっていると亜嵐の体の力が
ふっと抜けた気がした。
「亜嵐……？」
亜「……案外まともなこと言うんだな」
「え？」
亜「……分かった、今日は休むから。
……その手、離してくれ」
かすれた亜嵐の声が薄暗い部屋に
響いた瞬間、
私はぎゅっと唇を噛んだ。
亜嵐が、私の言うことを聞いてくれたんだ。
気持ちが通じた……。
今まで一度だって涼太に自分の思いを
うまく伝えられなかった私なのに。
胸が痛いくらい熱くなるのを感じる。
何もない床へ腰を下ろした亜嵐は
背中を壁にもたせかけたあと
少し充血した赤い目を私へ向けた。
亜「……てか、なんでAは、
ここに来たわけ……？」
「えっ、なんでって………」
亜嵐の視線が痛いくらい突き刺さっても
うまく説明なんてできない。
だって、
気づいた時には家を飛び出して
しまっていたんだから。
「それは……龍友くんがメールで
教えてくれたからでっ」
1度は『私には関係ない』って
振り切ったくせに
結局龍友くんのメールを理由にしてしまう
自分がいた。
亜「……そっか」
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作者名：ゆーか
| 作成日時：2018年1月16日 21時
