検索窓
今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:86,433 hit

43 ページ43

涼「この間、俺の連れで見たやつがいたんだよ」

「えっ、見たって何を……?」



一瞬、なんのことだか

分からなくて瞬きをした瞬間、

涼太の視線が私へ降りかかった。



涼「Aが、男と一緒にいるところ」

「おと……」



突然の涼太の言葉に、

喉の奥で声がもつれそうになった。



「あのっ、涼太……」



なんとも言えない冷たい空気が

漂っている中。

涼太の探るような視線とぶつかった。



涼「Aが、第三校舎に入っていったって」

「えっ、第三………」



誰もいなくなった教室は、

まるで時間が止まっているみたいだ。

私をじっと見すえたまま動かなかった涼太。


けれど突然。


怪訝そうな表情をうかべて

机から飛び降りた。




涼「Aはさ、第三校舎の奴らと親しいわけ?」


「えっ」




1歩、2歩、近づくと、

涼太が腰を落として私と目線を

合わせる。



涼「第三校舎の奴らは俺達とは世界が違うこと

Aは知ってんの?」


「…………」



何も言えずにぐっと迫る涼太の顔から

思わず視線を逸らしてしまった。



涼「A」



威圧的な声に、

ビクンと肩が揺れた。


振り向けば、頬に当たる涼太の呼吸。


すぐ目の前に涼太の顔がある。



「あっ……」



キス、される!



そう思った瞬間、

怖くなって思わず私は目を

ギュッと閉じた。



キス……キスされ……ない?



ゆっくりと目を開ければ、

涼太は目を大きく見開いたまま

止まっている状態だった。


息が触れるほど近くに唇があるのいうのに。




「涼太……?」





名前を呼んだ瞬間、

涼太が、

はっと気づいたように、

顔を離した。



そして苛立ちを露わにして、

ぐしゃぐしゃと自分の髪をかきむしる。



涼「とにかく、ああいう連中と付き合うのはやめろよ」



乱した呼吸を整えると、

すっかり元のように落ち着きを取り戻した涼太が

カバンを手にして振り返った。



涼「分かってるだろ、Aも」


「えっ、なにを……?」


涼「俺は、付き合うんだったら今までみたいに

真面目で大人しいAがいいってこと」



それだけ私へ言い残すと涼太は

『これから予備校だから』

と言って、教室を飛び出していった。




「違うよ、涼太……」




涙がじんわりと滲んでくる。

私はそんな子じゃない。

本当の私は違う。

本当の私は、涼太のおもっているような

女の子なんかじゃない……。

44→←42



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (118 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
380人がお気に入り
設定タグ:GENERATIONS , 白濱亜嵐 , 片寄涼太   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆーか | 作成日時:2018年1月16日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。