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私を誘導するように龍友くんが
サクサクと歩き出す。
「ついて……って、どこに？」
本当に戸惑うばかりだ。
龍「どこって、あそこ」
「え？」
龍「ほら、行くぞ」
そう言って、龍友くんが向かっていったのは……。
あの不気味な第三校舎だった。
昼間でも暗いあの校舎に、
日が暮れようとしてるこの時間になって
向かうなんて。
どうしたらいい……？
まさか、行き先が、あの校舎だなんて思わなかった。
龍「こっちこっち」
「う……ん」
それでも私は、足を進めるしかない。
『アラン』の名前を聞いてしまったからには。
裏門から第三校舎までは
100メートルくらいの距離がある。
もともと旧校舎の一部らしく、
私たちの教室がある第一校舎とは
直接つながっていないから、
入学以来、
全く無縁だった建物。
どうしよう。
でも、最初に龍友くんに声をかけたのは
わたしのほうだ。
しかも、あの中にはアランくんがいるかもしれない。
そう自分に言い聞かせて、
薄着味悪い第三校舎へ向かっていた途中。
龍「ところで、まだあんたの名前聞いてなかったな。オレは数原龍友。龍友って呼んでいいから」
「……私の名前？」
そういえば、まだ名乗ってすらいない。
「……宮下……宮下A」
龍「ふーん、Aちゃんか」
「それじゃ、Aで」と私の呼び方を決めた
龍友くんは、
期待を打ち消すような一言を放った。
龍「てか、アランからメガネを拾ったなんて話は聞いたことないなー」
「え？」
聞いてない……？
それでも可能性は少しでも残っているのなら、
アランくんに会わないわけにはいかなかった。
これまでさんざん探し回って、
ほとんど手がかりがないのだから。
龍友くんについてしばらく進んでいくと、
茂った木々の隙間から、
第三校舎の入り口が見えた。
龍「ほら、Aも一緒に入るぞ」
「中へ……？」
龍「どうした、来ないのか？」
「………いえ」
今まで近づくことさえなかったから
気づかなかった。
第三校舎の入り口は、
思ったりも綺麗に掃除されていて清潔感がある。
龍「アランに会いたいんだろ？」
私を中へと誘導する龍友くん。
……アラン。
その名前に釣られるように、
勇気を出して足を踏み入れた。
そして廊下を奥へと進む。
「あっ……」
すると先に、ぼんやりと明かりが漏れている教室が
見えた。
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作者名：ゆーか
| 作成日時：2018年1月16日 21時
