SeeYou また君に会いたくて (ページ16)

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本当の私は全然違うのに。

私は違う。

希ちゃんのように、可愛くもなければ

知的でも大人しくもない。

いつだって涼太の好みの女の子を

一生懸命に演じているだけ。

「あのね、希ちゃんって結構モテるんだよ」

なんだか自分のことから話をそらしたくて、

思わず希ちゃんのことを

話題にしてしまった。

涼「そっか。土橋は隣のクラスの小森に惚れてて、坂東が惚れてるのは……」

そこから先。

言葉が止まった涼太に、

私はすかさずあとを続けた。

「あ、希ちゃんは、中学の時の部活で憧れていた男の子がいたらしいけど、今はフリーなんだって」

たしか、そうだったはず。

いつだったか、楓が希ちゃんに迫って

聞き出したんだっけ。

「楓は中学もテニス部だったし、希ちゃんはバスケ部のマネージャーだったかな」

そもそも私と涼太の共通点なんて

同じクラスというくらいだ。

ふたりでいてもどうしても

楓や希ちゃんの話題になってしまう。

「あ、希ちゃんと私は、身長が一緒くらいだし、後からだと楓がよく間違えるんだ。前から見たら全然違うんだけどね……」

言葉がスラスラ出てきて、

なんだか今日は調子がいいと

思っていた時だった。

涼「ごめん、俺、帰るわ」

「え？」

突然、涼太が立ち上がったかと思えば

『悪いけど』と言って図書館を

出ていってしまった。

「りょう……た？」

一人取り残されたわたしは呆然としながらも

不安になっていく。

なにか私、変な事言った？

涼太が気になることをしてしまったの………？