片寄涼太 Stellar…涙 (ページ44)

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夏「あ！A！」

声のするほうを見ると、

夏恋が笑顔で駆け寄ってくるところだった。

でも、わたしと涼太くんが一緒にいるのを見て

その笑顔が少しこわばったことに

わたしはきづいた。

わたしは一歩後ろに下がり

涼太くんとの距離をとる。

夏「おつかれ！なんか結局一人でやらせちゃってごめんね」

「今はまだ大丈夫。実際に作業する段階になったら、お願いするから」

夏恋はわたしの傍らに立つ涼太くんを

気にして言った。

夏「なにか打ち合わせ？わたしもう練習終わったから、今からなら一緒にできるよ」

涼「いや、打ち合わせってほどのことじゃないから」

涼太くんがイヤホンを外しながら言った。

夏「涼太、あんまりAをこき使わないでよね」

涼「使ってねーし。……じゃあ、Aよろしくな」

そう言って、涼太くんはいってしまった。

その後ろ姿を見送って、夏恋がぽつりと言った。

夏「最近、仲いいよね、涼太とA」

「別に良くないよ」

夏「しょっちゅうふたりで話してるじゃん」

「それは団長と衣装係のリーダーだから」

夏「それだけ？」

その言葉に思わず夏恋の顔を見る。

「っていうか、誰かさんのせいでこんなことになってるんでしょ！夏恋ー、そろそろ働いてもらうよ！」

夏「あー、Aごめんごめん！笑」

いつもの笑顔に戻ってくれた。

わたしはその笑顔を見て思った。

夏恋はけっこう本気で、

涼太くんのことを

好きになっているのかもしれない。