片寄涼太 Stellar…涙 (ページ18)

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わたしと夏恋は幼稚園からずっと一緒だ。

ぜんそく持ちだった夏恋は細くて小さい女の子だった。

幼稚園を休むことも多くて、なかなかなじめなかったのか、登園するときは、

わたしのそばにいたがった。

こわがりで、不安にのみ込まれてしまうことも多くて

なにかあるとすぐに泣いてた。

泣きやまない夏恋に困り果てた先生が、

違う組のわたしを頼って呼びにくることすらあった。

別の教室で折り紙をしていても、お遊戯をしていても

先生に呼ばれたらすべてを中断して

夏恋のもとへ駆けつけた。

泣きじゃくる夏恋をクラスの子たちが困り顔で

取り囲んでることなんてしょっちゅうだった。

わたしが隣に座って、腕に触れると夏恋の体は

泣きすぎて熱くなっていたことをよく覚えている。

濡れた目でわたしを見て、

ほっとした顔になる夏恋の手を強く握ってあげていた頃が嘘のようだ

小学校の中学年くらいになると、

ぜんそくがおさまり、

学校を休むこともなくなった。

この頃から、夏恋の存在感は増していった。

背が伸びてどんどん女らしくなっていく夏恋は

外見がきれいになればなるほど

自信をつけていくようだった。

寂しがり屋だからこそ、甘え上手な夏恋は

クラスメイトからはもちろん

先生ウケもよかった。

勉強もスポーツも成績は普通くらい

だったのだけれど、困っていると

必ずどこからか手が差し伸べられた。

夏恋は当たり前のように、その手をつかみ

すべてをそつなくこなしていたと思う。