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はちまきだけでも完成させられたら、

と思っていたけど、五時を告げるチャイムが

鳴ったとき、あと少し作業が残ってしまった。

まだまだ時間はあるしと、

今日のところはおひらきにして、

みんなで片付けをしたあと、

わたしは家庭科室の鍵を返しに職員室へ

向かった。





するとそこに応援団の練習を終えて

先生と話している涼太くんがいた。

わたしが鍵を鍵置き場のフックにかけて

職員室をでると、

涼太くんが追いかけてきた。


涼「A、これやるよ」

「なに?」


涼太くんが鞄の中から出したものを見て

わたしは驚いて小さな歓声を上げた。

それは毎年夏限定で発売される

スイカ味のドリンクだった。

スイカが大好きなわたしは発売される

時期をいつも心待ちにしているのだ。


「もう出たの?」

涼「さっきコンビニ行ったら、あったんだ。珍しいから買ってみた!」

「えーうれしい!飲んでいい?」



数原さんに差し入れしてもらった

ミルクティーはこっそり鞄の中にしまい込んでいた。

でも、作り方をおしえたり

指示を出すためにわたしにしては

大きな声を出していたから、

じつはのどがからからだったのだ。

涼太くんの返事を待たずに、

わたしはキャップをあけ、

ごくごくと、喉を鳴らしてそれを飲んだ。



「あー!!最高!」

涼「おやじか!笑」

「え?」

涼「お風呂上がりのビール飲んだおやじみたい笑」

「だって!おいしいんだもん、涼太くん、ありがとう!!」

涼「ご機嫌だな」

「これ好きなの、本当に」

涼「そう?、なんか、独特な味しない?」

「えー、おいしいじゃん!」

大好きなジュースにケチつけられて、

心外な気持ちになる。

独特なんかじゃなくて、

この季節にしか味わえない特別な味なのに…笑


涼「まぁ、好みは人それぞれだよな」

「おいしいよ!」

つい抗議の口調になってしまうわたしを、

なだめるように涼太くんが笑った。




涼「おー、ならよかった。探したかいあったよ」




その言葉に



え?



と思った。



さっき



『コンビニ行ったら、あったんだ』



っていってたのに…



「探してくれたの?」

涼太くんは照れくさそうな顔でうなずいた。

「どうしてわたしがこのジュース好きだって知ってるの?」

涼「あ……、いや、Aっていつも果物のジュースばっかのんでるじゃん。だからさ。季節限定とかだったら喜ぶかなって」


「そうなんだ……」

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作者名:ゆーか | 作成日時:2017年10月16日 19時

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