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「あ、ありがとう。でも大丈夫だから」
涼「重いじゃん」
言葉とは裏腹に軽々と紙袋を持って、
片寄涼太は、すたすた歩き出した。
わたしはどうしていいのかわからないまま、
とにかく二歩くらい後ろをついて歩き出す。
なのに、片寄涼太は立ち止まり
わたしが隣に来るのを待っているから、
結局並んで歩く事になってしまった。
涼「Aは写真好きなの?」
そう聞かれて、どう答えていいのかわからず口ごもった。
Instagramのことは誰にも言ってないし、
写真のことをあまり掘り下げられるのはいやだった。
「……別に。そういうわけじゃないけど……」
片寄涼太は「ふーん」と探るようにわたしを見た。
「なに?」
涼「いや、別に〜」
そう言いながらも、片寄涼太はわたしを
見つめ続けた。
心の中を探ろうとするかのようなその視線に、
動揺せずにはいられなかった。
「ありがとう。もう大丈夫。わたし持てるから!」
教室まであと少しだった。
わたしはふたりでいるところを
夏恋に見られるのがいやでそう言ったのに、
片寄涼太はどんどん行ってしまう。
「ちょっと……、片寄くん!」
すると、片寄涼太は振り向いて、ふてくされたような顔をした。
涼「涼太でいいって言ってるじゃん」
「………」
心の中では片寄涼太ってフルネームで呼んでるけど、
名前だけを呼び捨てにして口に出すのは勇気がいる。
なにも言えずに立ち尽くしすわたしを見た片寄涼太は
さらに行ってしまおうとした。
「ちょ……、り……、涼太くん!」
すると片寄涼太は振り向いて、
してやったという顔で笑った。
そのくしゃっとした笑顔が可愛くて、
不覚にもドキッとしてしまう。
涼「いいね、それ、涼太くん」
そして、わたしに紙袋を渡しながら
わざと子供っぽい言い方をした。
涼「はい、Aちゃん!」
わたしはかーっと顔が赤くなった。
Aと呼び捨てにされるより、
なんだか恥ずかしかった。
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作者名:ゆーか | 作成日時:2017年10月16日 19時