片寄涼太 Stellar…涙 (ページ20)

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修学旅行のとき、自由時間のグループを

自分たちで作ることになった。

仲良し同士が自然に集まりグループを作るなか、

ふと気がつくと、わたしのところに来てくれる人は

誰もいなかった。

教室でぽつんとひとりきりだったのだ。

あ、やばい。

わたしはそのとき、全身にぞわぞわと鳥肌が

立つような感覚に襲われた。

それは危機感でもあり、恐怖感でもあった。

みんなが当たり前のように手にしている自分の

いるべき場所を、わたしはもっていないという恐怖。

なにも考えずに好きな世界に没頭して、人間関係を

作るということをおざなりにしてきた。

その結果が、これなのだと思い知らされた。

？「A！」

明るくわたしを呼ぶ声がした

夏「なにしてんの！こっち！こっち！」

数人の女の子たちに囲まれた夏恋が、

教室のうしろの方から無邪気な笑顔で呼びかけてくれた。

わたしはそれまで感じていた恐怖が一気に消え、

体中に安心感が広がったのを感じた。

わたしは一瞬でも動揺したことなど

おくびにも出さず、ゆっくりと夏恋のもとに向かった。

視線の先には夏恋の笑顔があった。

その笑顔を見ながら、わたしは悟ったのだ。

夏恋がわたしを親友と思ってくれていれば、

ひとりぼっちになることはない、と。