０１. 準備が出来たらここに来て ページ3
…
「君はダイヤの原石だ、ぜひうちの事務所に来て欲しい…！」
兄が出場するダンス大会で、踊ってもいないのに声をかけられた。
ちょうど、優勝トロフィーを手にした兄が戻ってきているのが見えた頃だった。
すごいなぁと思うのと同時に悔しいとも思う。
俺は所詮、『
『……どういう事務所、ですか』
「アイドルだよ。アイドル事務所だ。」
『僕のダンス見た訳でもないのに？』
「オニーサンには分かっちゃうんだよなぁ！」
陽気な人だなあ。分かっちゃうって何だ。
てか俺、ダンサーは夢だけど歌は歌えないよ。
それでも何故か怪しい人に見えないのは、この人のオーラがなんか明るいからか。
「A……？」
『あ、兄貴』
丁度戻ってきた兄は不審そうに見ていた。
陽気なオニーサンは兄を見るとまた声をかけた。
「おお、お兄さん！君もアイドルしてみない？これ！」
「君たちがデビューしたらきっとこんな感じになれると思うんだ」
携帯で見せられた映像は、俺が知ってるアイドルじゃなかった。
てかそもそも言語も知らない。
こんなにダンスが揃ったアイドルも知らない。
1曲見終わって気付いたのは、隣の国の曲だってこと。
そして自分が驚くくらいこれに見入っていたということ。
「ねぇ、どう？2人ともアイドルしない？」
「俺は夢がダンサーなので…すみません」
分かってたけど、兄はあっさり断った。
まぁそうだよな、それが普通ってもんだ。
「そっかぁ。
じゃ、弟くん！してみない？場所は韓国だけどさ。」
俺だって夢はダンサーだったはず。
そこに歌もラップも要らなかったはずなのに。
『……してみたい、です』
気付けばこう口走っていた。
兄は驚いた顔で俺を見つめていた。
「そうこなくっちゃ！！
とりあえず、俺の名刺と連絡先！また連絡するよ！」
きっと、兄の背中を追うだけじゃ嫌になったんだと思う。
もっと先に、『夏井の弟』というレッテルじゃなくて、『夏井A』として輝ける場所に。
兄がいない場所で俺を認めてもらえたら、俺の実力はきっと本物だと思えるから。
…
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せる(プロフ) - チェさん» ありがとうございます！これからも楽しんでいただけたら嬉しいです^^♡ (2023年1月16日 1時) (
レス) id: d551e89fe1 (このIDを非表示/違反報告)
せる(プロフ) - ちょんちょんいさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…！期間が空いてしまいましたがゆっくり書いていこうと思います！^^！ (2023年1月16日 1時) (レス) id: d551e89fe1 (このIDを非表示/違反報告)
チェ(プロフ) - お話大好きです~~ㅠㅠ (2023年1月15日 3時) (レス) id: 5cde12fd59 (このIDを非表示/違反報告)
ちょんちょんい(プロフ) - 今いちばん楽しみにしている作品です！これからも頑張ってください！ (2022年10月2日 18時) (レス) id: 6eafd3ba10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せる
| 作成日時：2022年9月27日 2時
