六十五話 ページ25
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「理由をお訊ねしても?」
「それは此処の社員らがいない時にでも話そうじゃないか、こんな空気の中で長話は気が散るからな。
……勧誘ついでに云っておくが、組合に来ればここより遥かに高い給料が出る。
家も豪奢なものになる、服も全てオーダーメイドに出来る。そのぐらいの金は簡単に手に入るぞ?
君はこんな弱小組織に留まる器じゃない。つまりその力は然るべき場所で__」
「冗談も程々にして頂きたい」
「……ほう?」
つらつらと薄っぺらい勧誘文句が頭にキたので其れを強制的に終わらせる。
「私は武装探偵社の社員です。これから先も。
其れを妨げると仰るのなら…____貴方々全員、私一人で奈落の底に突き落として差し上げますが如何致しましょう?」
云い放ったと同時に相手が気を失わない程度の殺気を放つ。
すると彼の後ろに控えている二人は顔を青くし、冷や汗を噴き出し乍ら下唇を噛んで俯いた。気を飛ばさぬようにしているらしい。
一方、真正面から殺気を受け止めている彼は眉を顰め、表情こそ明確に変えなかったものの、其の額から汗が一筋流れた。
恐ろしい強さを持つ人達が身近にいる環境で育った私の放つ殺気は悟と同等位にはあるから、可也きついはずだ。
緊迫した時間がゆっくりと流れていく中、先に沈黙を破ったのは向こうの方だった。
「…………そうか、ならば撤回しよう。だが、俺は欲しいものは必ず手に入れる。
明日の朝刊にメッセージを載せる、よく見ておけ
そう云うや否や、彼らは賢治君の案内と共に昇降機に乗り去って行った。
……ところで、最後の私の渾名は何????
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組合襲来の後、応接室から出ると治に「さぁっすがA!彼等のあの顔は実に面白かったよ!」と云われ、更に国木田君からは「よく云った」と一言。
谷崎君や敦君からは
「あんな風にはっきり云ってくれてスッキリしました」
「僕もです。殺気は吃驚しましたが、逆に頼もしかったです」
と云われた。
まぁ殺気に関しては社員の皆にはあまり向けない様にしたから余り感じなかったのだろう。
与謝野さんは満足そうに頭を撫でてきたし、乱歩君はずっと笑ってた。「まぁAなら戯言じゃなく本当に壊滅出来ちゃうよね!」とのこと。正解。
…まぁ、アレだ。皆組合に対してストレス溜まってたんだと思う。だって社長も一寸誇らしげにしてたし。
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Lara - 今日初めて見つけたんですけど好きすぎて一気に全話読んじゃいました!更新も気長に待っときまーす! (5月10日 21時) (レス) @page34 id: f21b034dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ(プロフ) - ウゥ……き、気長に待ってますよぉぉッ! (2月21日 19時) (レス) id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 又、ツイステは私もクルーウェル先生が大好きなのでそう言って貰えてとっても嬉しかったです。これからもずっと、よんこいちさんの活動を応援しております。2回にわたり長々と失礼しました。 (2月4日 12時) (レス) id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。よんこいちさん、更新についてきちんと伝えて下さりありがとうございます。私は、作者さんが使命感などのザワザワとした気持ちを持った状態でいられることは、私も経験があるので不安です。できればふわっとした気持ちで楽に過ごして欲しいです。 (2月4日 12時) (レス) @page34 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
トッテン - 作者からを読ませていただきました!私も中々手が進まない時よくあって気持ちめっちゃわかります…。この作品大好きなので何年でも待ち続けます!!アニメのマルソーの場面めっちゃ好きでしてこの小説はギルド戦で終わりにするという感じでしょうか🤔 (1月28日 10時) (レス) @page34 id: e12076433d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よんこいち | 作成日時:2023年8月18日 19時