六十話 ページ20
・
「…………真逆、寝てしまうとは…」
昼寝をし、二時間程経った後。
先に目を覚ましたのは_病的に白い肌に、淀んだ紫の瞳を持つ彼…フョードル・ドストエフスキーの方だった。
木に凭れていたせいで寝心地が悪かったのか、ドストエフスキーは軽く首を回してから瀬城に目をやる。
瀬城はドストエフスキー同様、大木に凭れて眠っていた。
無防備にも見えるその姿を見て、彼は思わず「(今触れれば殺してしまえそうですね)」なんて物騒な事を考えた。
然し、そんな事をすれば彼女の大量の経験と研ぎ澄まされた危機察知能力、加えて瀬城の本能により簡単に阻止されるだろう。
まぁ、ドストエフスキーには分かりきっていることであるため、一瞬で先刻の考えは吹き飛んだ。
と、そこで瀬城が静かに目を覚ます。目線だけを隣に動かし、一つ欠伸を零した。
「君、そんなにのんびりしてていいのかい?組織の頭目ならもっと忙しいんじゃないの?」
「間違ってはいませんが……そう毎日毎日忙しい訳ではありません。
部下もいますし、最近はあまり大きな事件も計画も無いので」
嘘つけ、と瀬城は盛大に(心の中で)ツッコミを入れた。
君、将来治とバチバチにバトるんじゃないの、と。
それとも、アレが"大きな計画"ですら無いのか、と。
そんな瀬城の内心を知ってか知らずか、涼しい顔で彼は続ける。
「強いて云うなら、貴女に会いに来るというのが仕事ですかね。ぼくでは敵わないですし」
「………………。……確かに」
知能はさておき、武力で勝てないと分かっている相手に単身で会いに来るのは危険性が高い。
まぁ、(何故か)瀬城の人柄を知っているからこそ出来た暴挙であるにしろ、彼は中々の大仕事をしていると云ってもいいだろう。多分。
486人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Lara - 今日初めて見つけたんですけど好きすぎて一気に全話読んじゃいました!更新も気長に待っときまーす! (5月10日 21時) (レス) @page34 id: f21b034dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ(プロフ) - ウゥ……き、気長に待ってますよぉぉッ! (2月21日 19時) (レス) id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 又、ツイステは私もクルーウェル先生が大好きなのでそう言って貰えてとっても嬉しかったです。これからもずっと、よんこいちさんの活動を応援しております。2回にわたり長々と失礼しました。 (2月4日 12時) (レス) id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。よんこいちさん、更新についてきちんと伝えて下さりありがとうございます。私は、作者さんが使命感などのザワザワとした気持ちを持った状態でいられることは、私も経験があるので不安です。できればふわっとした気持ちで楽に過ごして欲しいです。 (2月4日 12時) (レス) @page34 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
トッテン - 作者からを読ませていただきました!私も中々手が進まない時よくあって気持ちめっちゃわかります…。この作品大好きなので何年でも待ち続けます!!アニメのマルソーの場面めっちゃ好きでしてこの小説はギルド戦で終わりにするという感じでしょうか🤔 (1月28日 10時) (レス) @page34 id: e12076433d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:よんこいち | 作成日時:2023年8月18日 19時