五十九話 ページ19
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「あぁそうだ、君の呼び方は……」
「何でも構いませんよ。…そうですね、フェージャと呼んでくださると個人的には嬉しいのですが」
「よしドス君ね」
「話聞いてましたか?」
隣からの視線が煩いが知らんぷりをかます。
私的にはドス君呼びが気に入ってるんだよ。だって語呂良いじゃん。
あとフェージャってあれだよね、"フョードル"の愛称だよね。
……もしかして:私に心開いた??そんなことある??
少し話が逸れてしまった。其の為突き刺さる視線を躱して強制的に話を戻す。
呪術界の説明に続いて悟と傑、硝子とのくだらない日常の話、呪霊との戦闘について。
其れに加えて私と悟、若しくは傑との悪ノリの話をしてみると__今度は彼が失笑していた。
意外な事に、庶民の下らない話がお好きらしい。
まぁそういう事(悪ノリ・悪戯)しなさそうだから、新鮮で面白いのだろう。
……こういうとこ、最初に会った時の治に似てるなぁ。
時折、彼から失笑では収まりきらなかったらしい笑いが「ふふ、」という上品な声と共に漏れていた。
イケヴォ…。CV:石○彰、恐るべし。
其の笑い声が気になり盗み見た横顔は___…所為"悪の権化"たる彼からは想像付かない様な、穏やかな笑みが浮かんでいた。
彼の表情につい拍子抜けしてしまい、口篭る。
視線に気づいた彼が「なんです?」と訊ねてきたが、「いいや、何でも」と返しておいた。
変な空気になったので、取り敢えず自身の膝元で寛ぐ玉犬(黒)を撫でる。
長い沈黙が続いたのち、彼がぽつりと呟いた。
「___こんなに、心安らぐ日が来ようとは」
ふと聴こえてきた言葉に驚いて、直ぐに彼の方を見た。
けれども、其の瞼は伏せられており、手は玉犬の頭の位置で停止している。
_____嘘でしょ、寝た。
相手にその気が無いとはいえ、自分を殺せる様な人間を隣に置いていながら寝るとは。心做しか頭が痛い。あと胃。
良い風に捉えると、"信用されている"となるのだが……。
…これで良いのか……??と思い悩む。
然し、私は基本的に寝たら忘れる系の人間だ。
というか、呑気に寝るドス君を見て悩むのが莫迦らしくなったというのもある。クッソ睫毛長いな腹立つ。
そんな訳で、ドストエフスキー__彼のよく分からない態度は一旦置いておき、自分も寝ることにした。
因みに人はこれを「考える事を放棄した」という。
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Lara - 今日初めて見つけたんですけど好きすぎて一気に全話読んじゃいました!更新も気長に待っときまーす! (5月10日 21時) (レス) @page34 id: f21b034dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ(プロフ) - ウゥ……き、気長に待ってますよぉぉッ! (2月21日 19時) (レス) id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 又、ツイステは私もクルーウェル先生が大好きなのでそう言って貰えてとっても嬉しかったです。これからもずっと、よんこいちさんの活動を応援しております。2回にわたり長々と失礼しました。 (2月4日 12時) (レス) id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。よんこいちさん、更新についてきちんと伝えて下さりありがとうございます。私は、作者さんが使命感などのザワザワとした気持ちを持った状態でいられることは、私も経験があるので不安です。できればふわっとした気持ちで楽に過ごして欲しいです。 (2月4日 12時) (レス) @page34 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
トッテン - 作者からを読ませていただきました!私も中々手が進まない時よくあって気持ちめっちゃわかります…。この作品大好きなので何年でも待ち続けます!!アニメのマルソーの場面めっちゃ好きでしてこの小説はギルド戦で終わりにするという感じでしょうか🤔 (1月28日 10時) (レス) @page34 id: e12076433d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よんこいち | 作成日時:2023年8月18日 19時