「それでも、好きです。」1【平野紫耀】

48 - 優しい嘘 ▽ sho side ページ48

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ソファに座る前にAちゃんが思い出したかのように手に持っていた紙袋を差し出した。





　「あ！平野くん、これ。」

紫「ん？」

　「この前、その、･･･色々お世話になったから、お礼にぬれおかき買ってきたの。」

紫「え！そんなそんな。いいの？」

　「喜んでもらえるか分からないけど。それに、メンバーが来てるって知らなくて、気の利いたもの買えなくてごめんね。」

紫「いや、こいつらのことは心配しなくていいよ！俺、めっちゃぬれおかき好きなんだよね。すげー嬉しい！ありがと！」





そう言って、差し出された紙袋を受け取る。





さっきから、じんと海人がやたらとにやにやしているのが視界に入ってきて、落ち着かない。





視線を遮るように「何か飲み物持ってくる。」と言ってキッチンの方へ向かうと、じんがAちゃんに話しかける声が聞こえた。





神「Aちゃんって、ジャニーズは詳しいんですか？」

　「それが全然で･･･。」

神「あ、そうなんですね。じゃあ、紫耀と知り合った時も、紫耀のことあまり知らないって感じだったとか･･･？」

　「あ、いや！キンプリってグループは知ってました。それに、平野くんのこともドラマだったり映画でよく見てて･･･。だから、初めて会った時は正直驚きました。『本物だ･･･。』って。」

神「紫耀、あれほどドラマ出てるもんなぁ。」





冷蔵庫から麦茶を取り出し、グラスに注ぎながら、出会った時のAちゃんの俺に対する心情を初めて聞いて、勝手にわくわくした。





なんか、嬉しいな。





Aちゃんからすれば、俺なんて「なんか見たことあるな」くらいに思われてたレベルだって勝手に考えてたから、「本物だ」って思ってもらえるほど、最初から認知されていた事実に自然とにやけてしまった。





自分では直接聞けなかったことを、じんがまるで代弁してくれたかのようで、心の中で思わず「ナイス」と呟く。





海「そういえば、紫耀とAさんって、どっちから連絡先聞いたの？」

　「それは･･･。」

紫「あれ？言ってなかったっけ？俺からAちゃんに聞･･･。」

　「わたし！わたしから聞いたの！」





俺の言葉を遮って、Aちゃんが口にした言葉に、麦茶が入ったグラスを配る手が思わず止まる。





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