「それでも、好きです。」1【平野紫耀】

43 - 会えば会うほど ▼ you side ページ43

《 you side 》





〈 今日、おうちに居たりする？この前のお礼がしたくて、少しだけ会えると嬉しいです。〉





緊張が滲んだ指先で送信ボタンを押す。





･･･送ってしまった。





悩みに悩んで考えた結果、やっぱりこの前のお礼をちゃんとしようと思って送ったライン。





「気を遣わないで欲しい。」と言ってきた平野くんだけど、あんな真夜中に家にお邪魔して泊まっただなんて、思い出しただけでも申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになる。





しかも、それが大人気アイドルの家だなんて･･･。





ああもう、どうして泊まっちゃったんだろ。





　「･･･しかも、わたし平野くんにドキドキしてた。」





オフィスでの昼休憩中、お昼ご飯を食べ終えたわたしは、たった今平野くんに送ったメッセージを再度読み返す。





" お礼 " なんて正直何を贈ればいいのか分からなかったけど、こんな時に役に立つのが皮肉にもネット検索。





相手が平野くんだからこそできる技。





〈 平野紫耀 好きな食べ物 〉





というワードを入れて検索すると、検索結果の一番上に出てくる答え。





〈 ぬれおかき(大好物)。肉。紅生姜。 〉





･･･え？･･･ぬれおかき？





他の検索ページを見ても、「ぬれおかき」の文字が並ぶ。





しかも、『大好物』って書いてある。





平野くんって結構渋いんだなと思いながら、平野くんがぬれおかきを食べてるところを想像したら、なんだか可愛くてつい微笑んでしまった。





先「さっきから表情豊かだね。」

　「せ、先輩！」

先「スマホと睨めっこしたり、にやにやしたりどうしたの？いいことでもあった？」





どうやら見られていたらしく、同じ部署の先輩に背後から声を掛けられた。





　「いいことと言うか･･･。」

先「ん？」

　「あ、そうだ！ぬれおかきが美味しいお店とか、ご存知だったりしますか？」

先「えっ、ぬれおかき？」





うん、普通はそうだよね。





そういう反応になるよね･･･。





平野くんの好きな食べ物、しかも大好物だと本人が主張しているものがぬれおかきだという事実に、難問すぎて頭を抱える。





いっそのこと、ぬれおかきは諦めて、王道の甘いスイーツにしようかなと思い悩んでいると、





先「･･･あー、あるかも。」





と思い出したかのように言う、先輩の言葉に救われた。





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