「それでも、好きです。」1【平野紫耀】

30 - 感情の渦 ▼ you side ページ30

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街灯の少ないマンションの前通りはなんだか怖くてとぼとぼと歩き出す。




大通りまで出たら、タクシーは捕まるだろうか。





とはいえ、





　「･･･び、びっくりした。」





まさか平野くんに会えるなんて･･･。





突然の出来事にまだ心臓がバクバクしていた。





" おやすみ " と言って、あまり目も合わせられずに来ちゃったことに、暗い印象を与えてしまったんじゃないかと少し後悔。





･･･でも、





テレビ越しで見る平野くんよりも、ずっとずっとかっこよく思ってしまった自分に動揺を隠せなかった。





初めて出会った時は、「キンプリの平野紫耀だ」としか思わなかったのに、今少し会っただけでもこんな気持ちになってしまっている自分に戸惑う。





そんなことを考えながら、とぼとぼと歩いていると、背後からわたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。





紫「･･･って、待って。Aちゃん！」





はっとして、気付いて振り返ると、





紫「･･･Aちゃんっ。」





走って追いかけて来た平野くんが、息を切らしながら、わたしの腕を掴んでいた。





　「ひ、平野くんっ？！」

紫「帰らせらんない。」

　「え？」

紫「こんな時間なのに、Aちゃんのことやっぱり一人で帰すとかできないわ。」





激しく心臓が鼓動し始める。





ドキドキが止まらなかった。





　「でも、タクシーだから心配しなく･･･。」

紫「Aちゃんの家、あの時偶然会ったコンビニの辺りなんでしょ？･･･ここから遠いし、ますます心配になる。」





そう言って、真剣な目をした平野くんはわたしの腕を掴んだままで。





恥ずかしさで掴まれた腕がじわっと熱く感じ始める。





少しの沈黙が流れて、何かを決心したようにそっと口を開いた平野くんから出てきた言葉に、





紫「･･･泊まっていって欲しい。」





ますます心臓がおかしくなってしまいそうだった。





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