「それでも、好きです。」1【平野紫耀】

18 - 送れないライン ▽ sho side ページ18

.





とはいえ、





その後の収録中、ずっと考えてしまっていた。





メッセージを送れと提案してきたじんは、俺のことなんてそっちのけで収録に集中してるし、他のメンバーは各々収録を楽しんでる。





ああ、難問すぎる。





どう送ったらいいんだ？





スタジオの照明を眺めながらぼーっとしてしまう自分が情けなかった。





.





ス『お疲れさまでーす！』





スタッフの声と共に収録が終わる。





岸「あー、腹減ったー。」

海「俺もなんか食べたい気分。」





メンバーみんなでわちゃわちゃと楽屋へ戻る中、じんが小走りで駆け寄って来た。





神「送れた？」





心配そうな顔をしながらも、少しにやにやしながら声を掛けてくる。





一体どういう感情なんだか。





紫「･･･送ったわ。」





ますますにやにやしだす顔。





思わず、「なんだよ。」と言って、じんの背中をばしっと叩いた。





神「返事は？来たの？」

紫「いや、まだ。」





ちょうど最後の休憩を迎えた時に、メッセージを送った。





あれこれ考えたけど、





『平野です。この前は、突然すみませんでした。』





と、シンプルかつ当たり障りのない文章を送ることにした。





.





楽屋へ戻ると、着替えを済ませてからスマホを手に取り、恐る恐る画面を確認する。





〈 新着メッセージ2件 〉





･･･あ。





絶対返信来てるじゃん。





もう少し気の利いた言葉を送ればよかったって今更になって後悔してももう遅くて。





ラインのトーク欄の一番上には、待ち焦がれていた人。





〈 平野くん、こんばんは。わたしの方こそ、心配掛けてしまってすみません。〉





というメッセージに続いてもう一つ、





〈 今日はお仕事でしたか？ 〉





とあった。





.

19 - 送れないライン ▽ sho side→←17 - 送れないライン ▽ sho side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す