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つい怒鳴ってしまった自分に後悔して、掴んだままだった腕を離してタオルを渡した。
薬も飲ませたし、僕が離れて目を覚ますなんてこともなくなっただろうから、別にこのまま部屋に戻って寝てもいいんだけど。
何となくほっとけなくて。
でも、まだまだ続く沈黙に耐えられなくて、僕はAに背を向けた。
「……何でそんな、…なんて言うか、嫌じゃないとか、逃げないとか、…思ってもないこといつも言うの?」
『……、……』
「それが本心じゃないって、僕でもわかるよ。だからちゃんと言えばって、思った、んだけど」
『……』
「…さっき、薬飲む前。やだ、とか言ってたし、…泣いてたから。熱あったせいかもしれないけど、いつもそうすればいいのに」
僕に擦り寄ってきたのが可愛かったから、とかじゃない。
絶対、ない。
『……逃げるのと、…抵抗するのは、ダメ、だから』
「……は?何それ。そんな決まり誰に言われたの?…あ。最初、ジミニヒョンが言ってたこと?」
『っ、……言われた、とおり、に…してれば、おかね…もらえる、って』
「…お金のことは僕は分かんないけど、Aが嫌がったり拒否したからってお金払わなくなるとかはないでしょ。ないよ」
『…、…』
「それ誰に言われたの?事務所の人?」
パッと振り向いたら、Aは控えめに首を横に振った。
え、なに、誰だよそんなバカなこと言った奴。
ジミニヒョンのあれは、あのやりとり自体を楽しんでただけだし。
…でもコイツなら勘違いするよな、たぶん。
テヒョンイヒョンは拗らせてるだけだけど…。
その後の構いかたもめちゃくちゃでそりゃ怯える、よな。
「ジミニヒョンとかテヒョンイヒョン?」
『…、ん、ぇ、……?』
もしかして他のヒョン達?
上から順に名前を出していったけど、ちょっと首傾げて横に振るのが続く。
あれ、もしかして僕?
そんなつもりはなかったけど…嫌われることしてたのは一応自覚あるけど…そこまで傷つけてた、のかな。
僕?って指差したら、焦ったように首を横に振ったから、バレないようにホッと息を吐いた。
「あー、えーと…あ、日本の?Aを、…売った人?」
『……、…』
「…そういうこと。…でも日本にいるんでしょ、その人」
『…、…』
「じゃあAが嫌がっても拒否しても言うこと聞かなくてもその人にバレないじゃん」
パチパチ瞬きしてキョトンとしちゃって。
え、本当にわからなかったの?
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キムチゲル(プロフ) - なつきさん» わぁあ!嬉しいお言葉をありがとうございます!毎日読んでいただけてるなんて…!光栄です。ちょっと後半の構成を練っているので少し間があきますが、更新頑張ります! (2023年4月17日 19時) (レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - たくさん更新嬉しいです〜!毎日のように1話から繰り返し読んでいます(^^) (2023年4月16日 19時) (レス) @page41 id: 95c8aadb34 (このIDを非表示/違反報告)
キムチゲル(プロフ) - 儚さん» 無事に読んでいただけて良かったです!飽きないとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2023年3月28日 11時) (レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
儚(プロフ) - ありがとうございます!18歳以上の年齢認証をしたら無事作品一覧からreverseが閲覧できるようになりました!キムチゲルさんの作品は胸が苦しくなったりほっこりしたりと感情が忙しくなるので読んでいて飽きないです。いつも楽しませて下さりありがとうございます! (2023年3月26日 23時) (レス) @page25 id: b3dd7ca622 (このIDを非表示/違反報告)
キムチゲル(プロフ) - 儚さん» コメントありがとうございます!大好きとのお言葉、とても嬉しいです。別小説は、私の作品一覧から【reverse】とタイトルについたものになります。作品一覧への飛び方がわからなければ、トップページにリンクを貼りましたので、そちらからどうぞ。 (2023年3月24日 19時) (レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キムチゲル | 作成日時:2023年3月2日 20時