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Aと過ごす時間は、グループの中での役割やアーティストとしての自分を忘れて過ごせた。
あぁ、俺ってただの欲丸出しな男だな、って思ったらもう取り繕うなんて出来なかったから。
だけど、女の子を怯えさせて我慢させて無理に体を触って欲をぶつけてやろう、って昂りは消えていた。
残った形だけの欲をトイレに捨て去って、ある程度スッキリした脳で戻った部屋にはまだ怯えたままの小柄な女の子が座っていた。
僕を見上げるとビクって肩を震わせて、それなのに意を決したように正座して、ブルブル震える両手を膝の上で握りしめて。
『ごめっ、…ごめ、なさぃ…っ、……チャント、シマス…ッ』
「……」
自分にはそのつもりはもうない、と伝える日本語を探した。
それを伝えたところで、この子の警戒が解けるわけではない気もするけど。
震え続ける体の横を素通りして、本棚から短編小説を取り出した。
下を向いたままで僕の動きに気づいていないAに、2段ベッドの上からこっちにおいでと声をかけた。
ギシ、ギシ、と。
震えているからか余計にしなるハシゴの音に、落ちてしまいそうだなと横目で姿を確認する。
「頭、ぶつけないように、こっち」
『……、っ…』
「ここ、頭置いて」
胡座をかいた片方の太腿をぽんと叩いた。
膝枕って分かってくれたかと思いきや、土下座の姿勢でそのまま額をつけたから、思わず目を見開いて二度見した。
あぁ、これがこの子の常識なのか、と思うと同時に胸が痛む。
違うよ、の意味で後頭部をポンと撫でると、肩をすくめてまた大きく震えている。
『ごめ、なさ…っ、ごめん、なさぃ…』
「……力抜いて。叩いたりなんかしないから」
『っ、……タタイテ、…イイ、デス』
「…ソンナコト、シマセンヨ」
『っ、…っ、チャント、…デキナ、カッタ、カラ、…オシオキ、……ヒツヨウ、デス』
悲しくなるような日本語なんて、覚えなければよかった。
うちのマンネと同じ年の女の子がこんな言葉を口にするなんて。
「そのまま仰向けになって？うん、そう。よし。んー、ちょっと眩しいかな」
『…っ、……』
シーリングライトは消して、読書用にベッド柵に取り付けていたデスクライトの角度と明るさを変えながら自分の手元が見えるようにいじった。
時折眩しそうに顔をしかめるAの目元に自分の手で影を作って、そのまま小説を読み始めた。
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キムチゲル(プロフ) - なつきさん» わぁあ！嬉しいお言葉をありがとうございます！毎日読んでいただけてるなんて…！光栄です。ちょっと後半の構成を練っているので少し間があきますが、更新頑張ります！ (2023年4月17日 19時) (
レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - たくさん更新嬉しいです〜！毎日のように1話から繰り返し読んでいます(^^) (2023年4月16日 19時) (レス) @page41 id: 95c8aadb34 (このIDを非表示/違反報告)
キムチゲル(プロフ) - 儚さん» 無事に読んでいただけて良かったです！飽きないとは…！とても嬉しいです！更新頑張ります！ (2023年3月28日 11時) (レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
儚(プロフ) - ありがとうございます！18歳以上の年齢認証をしたら無事作品一覧からreverseが閲覧できるようになりました！キムチゲルさんの作品は胸が苦しくなったりほっこりしたりと感情が忙しくなるので読んでいて飽きないです。いつも楽しませて下さりありがとうございます！ (2023年3月26日 23時) (レス) @page25 id: b3dd7ca622 (このIDを非表示/違反報告)
キムチゲル(プロフ) - 儚さん» コメントありがとうございます！大好きとのお言葉、とても嬉しいです。別小説は、私の作品一覧から【reverse】とタイトルについたものになります。作品一覧への飛び方がわからなければ、トップページにリンクを貼りましたので、そちらからどうぞ。 (2023年3月24日 19時) (レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キムチゲル | 作成日時：2023年3月2日 20時
