〜p.7 ページ7
『テテ、今も怒ってる？』
TH「怒ってない…怖がらせて…ごめん」
グクがテテを突き飛ばした。
2人とも怖い顔をしてて、ホビが慌てたように走ってきた。
何してんだ、って大きな声のホビも、怒ってた。
テテと話したい、と言って。
グクとホビはまだ怖い顔をしてたから、テテに車まで運んでもらった。
『こわ、…うーん、なんか怖かったけど、怒らせちゃったのは私だから、ごめんなさいは私だよ』
TH「違う…Aに怒ったわけ、じゃ……ただ、ショックで」
『私、いつも誰かを怒らせちゃうから、いっぱい怒って壊していいよ』
TH「っ、なに言ってるの！！！」
『…へへへ、やっぱり、お店以外だとみんなを怒らせちゃうねー』
いつも、どうして相手が怖い顔をするのか、怒られているのか、殴られているのか、キスをされるのか、体を貫かれるのか、わからなかった。
私はこのためにいるのか、って。
これと同じか、って。
グクが始めたボクシングのサンドバッグを見たとき、やっとわかった気がした。
痛みも感じなくなったし、怒鳴り声も聞こえなくなったし、自分から流れ出るモノも見分けがつかなくなったから、都合がよかった。
酷いことをされて傷ついた、と泣き続ける女の子がテレビに出てきて、代わってあげられたらなぁって。
私ならもう壊れてるから、傷つかないのに。
どれだけ世界が閉じていっても、遠くなっても、それだけで自分の価値を感じられた。
TH「Aは…その仕事、好きでやってる、の？」
『…すき、かなぁ。私にはちょうどよかったんだー』
TH「…ちょうどいい、って？」
『んんー、私ね、10歳の時に誰かに貰われてって施設を出たんだけど、バージンじゃなくなった後に壊れちゃったから返品されて』
TH「…誰か、に……」
『施設と学校でたくさんの男の人としちゃって、たくさん怒られて、仕事にすればいいのかなーって』
お店では、これまでしてきたことをしても怒られない。
お金も貰える。
音が聞こえない日でもやれる人のときは休まなくていいし、天職だと思う。
TH「…そんなのっ、…そんなの、Aが傷つくばっかり、じゃん…っ！」
『傷つかないよ？』
TH「なんで！傷つかないわけ、」
『なにも感じないから。だからちょーどいいの』
怒ってると思ったのに、顔を上げたテテは、泣いてた。
チリチリと、頭の中が灼けそうに痛くなった。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キムチゲル(プロフ) - ＃ピーチパイさん» ピーチパイさん、こちらでもありがとうございます！嬉しいです！ (2022年9月20日 23時) (
レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
＃ピーチパイ(プロフ) - 新作お待ちしてました。キムチゲルさん、好きな作者様なのでとても嬉しいです。応援してます！ (2022年9月20日 16時) (レス) id: 45ed2b8755 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キムチゲル | 作成日時：2022年9月20日 14時
