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悪いとは思った。
だけど確かめずにはいられなかった。
首元にあったものと同じ赤い痕と引っ掻き傷が、胸元にも太ももにも、…無数についていた。
誰が？誰と？
だけど合意だとは思えない。
だって、合意ならこんな引っ掻いた痕が被さっているはずはない。
誰だ。
Aを傷つけたのは…Aの体を弄んだのは、誰だ。
怒りで体が震えたのは初めてだった。
目の前が滲んでいって、涙まで出ていたことに気づく。
違う。
苦しいのは、悲しいのは、怒るのは僕じゃなくてAだ。
『……オッパ？』
「あ、気がついたん、だね。動かないで。体痛いでしょ？」
『……え、と』
「だから動かない方が、」
『…わたし、行かなきゃ』
頬から落ちた氷も、止める僕の腕も無視して起き上がったAを後ろから抱き止めてベッドの上に連れ戻した。
僕の腕の中にすっぽり収まる体は、震えていた。
『っ、オッパ…はなして、くだ、さい』
「…ダメ。行かないで。僕から離れて行かないで」
『…わたし、行かないと…また、』
「僕がっ、僕が…守るから。Aを、守るから」
『っ、おねがい、はなしてください！！！』
僕の腕を力一杯に振りほどいたAは、扉の前で鉢合わせたヒョンたちのことも突き飛ばして廊下を走って行った。
「テヒョンア…A、何か言ってたか？」
「…何も…離してって、行かなきゃだからって、出て行き、ました…」
「…さっき、アッパが帰ってきたところなんだ、」
「ナムジュナ！余計なこと言うな！」
「な、どう…え？Aが行ったのって、そんな！さっきあんなことされたばかりなのに！」
僕らにできることは今はない、と言い切ったジニヒョンに怒りが込み上げたけど、ヒョンたちも怒りに満ちた表情をしていたから。
何も言えなくなって、僕は壁を殴りつけることしかできなかった。
Aがその晩、自分の部屋に帰ってくることはなかった。
翌朝、父やヒョンたちが家を出てたのを確認してから、もう一度家に戻った。
母が氷とお粥の乗ったお盆を持ってAの部屋に入って行くところを止めた。
「母さんは、知ってたんですか」
「…何のこと？」
「……僕が、持っていきます」
「テヒョンア、学校は、」
「僕が持って行きます！！！」
知らなかったのは…何も知らなかったのは、僕だけなのか。
何も知らず、僕だけのうのうと暮らしてたってのか。
この家は、狂ってる。
．
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キムチゲル(プロフ) - ＃ピーチパイさん» ピーチパイさん、こちらでもありがとうございます！嬉しいです！ (2022年9月20日 23時) (
レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
＃ピーチパイ(プロフ) - 新作お待ちしてました。キムチゲルさん、好きな作者様なのでとても嬉しいです。応援してます！ (2022年9月20日 16時) (レス) id: 45ed2b8755 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キムチゲル | 作成日時：2022年9月20日 14時
