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現像作業中のドキドキ、出来上がった写真を見て一喜一憂して、吊るした写真たちを見て嬉しそうにするAを見る日々が、僕にとっては幸せだった。
『わぁ、見て、これ！すごくきれいに仕上がった』
「うん、すごい！A、上手になったね」
『んふふ、ありがと。あっ！このオッパ！すごくきれい！』
僕の横顔をおさめた写真をキラキラとして見つめるから、その横顔の方がきれいだ、なんてセリフを言いたくなった。
吸い込まれるように近づいていた体を、何とか引き留めた。
落ち着け、落ち着け、と言い聞かせた。
『オッパはさー、7月のコンテストが終わったら引退しちゃうの？』
「んー、そうだね。一応受験生だし」
『そっかぁー、寂しくなるなぁー』
暑い日の部室の中で、Aは扇風機の前で口を開けながらそう言った。
アーアーと変な声を出したり、整うはずのない前髪を整えようとしたり。
その風に乗って、Aの匂いが僕に届いて。
「引退してからも時々は顔出すよ」
『ホント！？待ってるね』
嬉しそうに振り向いたAに、触れるだけのキスをした。
蝉の声が響く室内には、沈黙が流れた。
「…急に、ゴメン」
『…い、いや…ビックリ、して』
「……」
『……』
僕はそのまま鞄を抱えて、先に家に帰った。
帰り道、唇を噛みながら涙を流した。
Aとの距離感は大きくは変わらなかった。
数日間は気まずくて登下校も別だったし、部活もサボったけど。
コンテスト用の写真の準備期間で共同作業しなきゃだったし、そしたら前と同じように話し始めて…くだらない話も勉強の話も夢の話もたくさんした。
夜道を歩きたいからと、一緒に抜け出してコンビニに行ってアイスを食べたり、ヒョン達にいたずらしたり。
だけど、部室に行くことはなかった。
僕の高校合格が決まって、中学の卒業式の日、Aは一緒に帰りたいと言った。
母が迎えにきていたから、車で帰れるじゃん、と思ったけどAの意図はそうではなくて。
母には通学路を最後に歩きたいから、と言い訳して、Aと歩くことにした。
「どうしたの？なんかあった？」
『んー、……なんて言うか、寂しくなっちゃって、…へへへ』
何か誤魔化したいときのAの笑い方は、昔から変わらない。
「僕も寂しいよ」
『…そっか』
「でもそれだけじゃないでしょ？」
『……部室で、待ってたのに、な、…と思って、さ』
Aは、泣いていた。
．
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キムチゲル(プロフ) - ＃ピーチパイさん» ピーチパイさん、こちらでもありがとうございます！嬉しいです！ (2022年9月20日 23時) (
レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
＃ピーチパイ(プロフ) - 新作お待ちしてました。キムチゲルさん、好きな作者様なのでとても嬉しいです。応援してます！ (2022年9月20日 16時) (レス) id: 45ed2b8755 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キムチゲル | 作成日時：2022年9月20日 14時
