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Aはすぐに家に馴染んで、たくさん遊んでたくさん笑い合った。
ヒョン達には少し遠慮したり敬語が抜けないこともあったけど、僕とは本当の兄妹のように、あの頃のジョングクとAのように、同じときを過ごした。
僕の受験のときには手作りのお守りをくれた。
一緒にお参りに行って、母と一緒に作ったというお弁当に心が温かくなった。
『テヒョンイオッパ!ファイティン!終わったら迎えに行くよ!』
「いひひ、すんごく勇気でた。行ってきます」
受験を終えて頭も手元もフラフラな僕は、校門で待っていたAのハグでいろいろとぶっ飛びそうだった。
「A!び、びっくりしたぁ」
『お疲れさま!ジニオッパとナムオッパが、ラーメン屋さんで待ってるって』
帰り道にお疲れラーメンを奢ってもらって、家に帰ってからはいつも通りの夕食を食べた。
合格発表の日も同じく、Aとヒョン達にラーメン屋で祝ってもらって、家ではお祝いにとお小遣いの入ったポチ袋を渡された。
ヒョン達のときは豪勢な料理が並んでいたことを、Aは知らない。
泣きそうな僕に、ソクジニヒョンは「もう一杯ならラーメン奢るぞ」と言って笑い、ナムジュニヒョンは「俺は高い料理よりもラーメンの方が好きだ」と言った。
仕方ないことだと、受験させてくれるだけ幸せだと、自分に言い聞かせながらちょっとした差別に耐えられたのは、同じ立場のAがいたからだと思う。
「Aのことも、僕たちがたくさんお祝いするからね」
『んー、まず受かるかなぁ?』
「だいじょーぶだよ!僕と一緒の学校だよ!?」
『…ん、と?』
ソクジニヒョンとナムジュニヒョンは中高一貫校に合格していたけど、僕は成績が届かなくて、中学は少しランクを落とした。
高校はヒョン達と同じところへ編入することを目指して、また勉強を頑張らなきゃ、と落ち込んでいたけど、Aも僕と同じ中学に入って編入を目指すと言っていたから。
少しだけやる気が出たし、同じ制服で学校に通えることが嬉しかった。
学ランを着た僕を、ヒョン達もAも似合うと言ってくれたから、父からの少しだけ見下したような目線は気にしないようにした。
Aが僕と同じ校章を付けたセーラー服を着れるようになって、入学式で恥ずかしそうに手を振って、同じ部活においでと誘って。
部員数の少ない写真部で、僕たちはいろんな景色やお互いの写真を撮った。
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キムチゲル(プロフ) - #ピーチパイさん» ピーチパイさん、こちらでもありがとうございます!嬉しいです! (2022年9月20日 23時) (レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
#ピーチパイ(プロフ) - 新作お待ちしてました。キムチゲルさん、好きな作者様なのでとても嬉しいです。応援してます! (2022年9月20日 16時) (レス) id: 45ed2b8755 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キムチゲル | 作成日時:2022年9月20日 14時