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射抜くようにじっと見つめる目を、私は知っている気がする。


『テテが、食べて、いーよ』

TH「…なんで?お腹空いてないの?」

『んと、お昼、いっぱい食べたから』

TH「えー、そう?うーん、じゃあ」



ずるずると啜られていく麺が、自分の心の中みたいだった。

自分のペースが思い出せない。

前は、もっとスムーズに話せていたはずなのに。



「やっぱり食べる?」と時折私を見る目が、なんだか怖かった。



TH「なんか、施設で会ったときと雰囲気違うね。緊張してる?」

『んー……よく、わかんない』

TH「それとも何か思い出した?」



何かって、何だろう。
口の端にソースをつけたままのテテがニヤリと笑う顔に、バチッと、電気が走ったように映像がダブった。





「へー、…僕のこと嫌いになった?お前を助けたのは僕だけだよ?」


血の滲んだ唇を拭った指先が、私に近づいてくる。
特徴的な唇のかたち。

アレは、…テテ?






『っ!テテ、わたし、かえ、る』

TH「えっ、ごめん、意地悪しすぎた!?ちょっと待って、足元ふらついて、」

『やっ、…』


手足がガクガクと震えていた。
耳鳴りと、広がっていく欠けた視界。


扉を開けたはずなのに何かにぶつかって進めなくて、座り込んだらもう立ち上がれなかった。

だれ。
私の目の前にいるのは、だれ?


アナタはだれ。








暗闇で蹲って泣いている子が、また、いた。






目を開けると、欠けた視界は戻っていた。
シーリングライト、ローテーブル、カーテン、…そして私を見つめるテテ。
テテにあるホクロ、への字になった唇。



『…テテ、』

TH「ごめん、変なこと言ったり、僕が意地悪だったね」

『ん…?意地悪?』

TH「…Aを怖がらせちゃったみたいだから。今度は優しくしようって決めてたのに…本当にごめん」

『…?前も、テテは優しかったよ?』

TH「…前って、最近のことでしょ?」



ホビのお店で話したとき、車で話したとき、コンビニの近くで会ったとき、いつのテテも意地悪だとは思わなかった。

ただ少し、怖いと感じたときはあったけど、それが何故なのかよくわからないし。


『んー…施設にいたときもテテが意地悪だって思ってなかったよ』

TH「ん……そっか。それならいいんだ」



私の頭を撫でる手つきは、感じられないけど優しい気がした。


TH「もう遅いから送るよ」

『うん、テテ、ありがとぉ』

TH「また、会って話そうね」



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キムチゲル(プロフ) - #ピーチパイさん» ピーチパイさん、こちらでもありがとうございます!嬉しいです! (2022年9月20日 23時) (レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
#ピーチパイ(プロフ) - 新作お待ちしてました。キムチゲルさん、好きな作者様なのでとても嬉しいです。応援してます! (2022年9月20日 16時) (レス) id: 45ed2b8755 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キムチゲル | 作成日時:2022年9月20日 14時

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