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〜p.19 ページ19

『…ん、…グク?』


Aはあと1つ角を曲がれば施設に着く、というところで起きた。

僕の背中に乗ったまま、僕が僕だと分かると小さく笑って擦り寄っていて。


『…ぁ、もうこんなとこか。降ろしてぇー』

「…立てる?」

『うん、たぶん平気…っ、……へへへ』


背中から降りても力が入らないのか僕の背中から手が離れない。
困ったように笑うAを正面から抱きしめた。



『わ、…どしたの?グク?どっか痛い?』

「違うよ…Aが…っ」

『わたし?』

「A、僕を頼ってよ…」

『ん?グクにはたくさん頼ってるよ?今も、』

「そうじゃなくて…そうじゃ、なくて…っ」


立てないAを支えてるのに、僕は小さい子のように頭を撫でられていて。
この手を離したくなくて、滲みそうになる涙を必死に飲み込んだ。



『グクがいなかったら私また転校してたよ?』

「でも、最近痩せちゃって、調子も崩してるAが、心配なんだよ…」

『…そっか。心配かけてごめんね。私はだいじょーぶだよ』

「A、明日は、」
「あ、何してんだ!また男遊びか!?」

『っわ、』



30代くらいの男が僕らの元に駆け寄ってきて、僕とAを引き離した。

瞬間、崩れ落ちるAを乱暴に抱き止める腕。

制服がズレてAの白いお腹が少しだけ見えた。


『ヨンさん、遅くなってごめんなさい。立てなくなっちゃったから送ってもらって、』

「そいつと遊んできたから立てないんだろ、ったく」

『ちが、う……へへへ。ごめん、なさい』



肩に担がれたAは口元だけに笑みを残して人形みたいになって、僕に小さく手を振った。
「またね」と「シィー」を口パクで繰り返しながら遠ざかっていく。


Aの太腿をいやらしい手つきで触るこの男が、あの痕を付けたんだと確信した。

殴りかかりたい衝動を止めたのは、そいつが施設スタッフのトレーナーを着ていたからで、ここで事を起こしても僕はAを助け出すことができないからで。



自分の無力さに腹が立って、道端の看板に八つ当たりした。




〜p.20→←〜p.18



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キムチゲル(プロフ) - #ピーチパイさん» ピーチパイさん、こちらでもありがとうございます!嬉しいです! (2022年9月20日 23時) (レス) id: eaa77fda60 (このIDを非表示/違反報告)
#ピーチパイ(プロフ) - 新作お待ちしてました。キムチゲルさん、好きな作者様なのでとても嬉しいです。応援してます! (2022年9月20日 16時) (レス) id: 45ed2b8755 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キムチゲル | 作成日時:2022年9月20日 14時

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