Cool kid ページ10
街の最寄りには人気のないゲームセンターがぽつりと構えている。人があまり来ず常に貸切状態なので遊びたい放題。特定の人だけが知っている、所謂穴場スポットだ
一通り遊び尽くすと、先程からずっとUFOキャッチャーとにらめっこしている白い帽子を被った少年がまだいた。どうやら、やや大きめのテディベアを狙っているらしい。真剣にやっていたので最初は声をかけなかったが、お金をどんどん注ぎ込む姿を見てさすがに声をかけてしまった
『こうやったらいいんじゃないかな?こうして…』
少年の手にそっと自分の手を添えてレバーを動かす。アームで景品を少しずつ動かしていき、ようやくテディベアを取ることができた
「…ありがとう、親切な
名乗ること自体苦ではないので教えると、「Aさん…うん、おれ覚えたよ。いい名前だね」と言い嬉しそうに微笑んで帰って行った
あれから数十年後。懐かしのゲームセンターに久しぶりに行ってみたくなったのでふらっと立ち寄った。もしかしたらあの少年がいるかもしれない、という淡い期待を抱く。当然ながら少年の姿はなくいつも通りガラガラであった
色々見て周っていると知らないシューティングゲームがあった。見たところ新しい物だったので、ここに立ち寄らなかった間に置かれたゲームだろうと思った。コインを入れて銃を構える。ゲーム上のゾンビたちは中々手強く負けてしまった。もう一度やろうとコインを入れようとすると肩を叩かれた
「あ、やっぱり。あの時の
急に現れてビックリしたのと同時に少年の成長にも驚かされたので、思わず息を飲む。もう少年より青年と言った方があっているだろう。身長はほぼ同じかそれ以上ある
「ごめん。びっくりさせるつもりはなかったんだけど。ところで…それ勝てそう?」
画面いっぱいにLOSEという文字が出ているので下手くそという事が一目瞭然である。とても恥ずかしい
「俺も一緒にやってあげるよ」
そう言うと自分の手を慣れた手つきで後ろから絡められ、ぐっと距離が近くなった。銃声音に負けないぐらい自分の心臓がうるさい。青年が自分の手を添えながらゾンビ倒して行く。やっとのことで勝つと今度は画面にWINという文字が浮かぶ
「やった勝ったよ…ってAさんどうかした?」
喜ぶ青年の顔はあの頃の無邪気な笑顔を見せていたが、こちらは心臓が鳴り止まなかった
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推しを推してけ(プロフ) - さとうみさんさん» さとうみさん!!いつも陰ながらEWの短編集読ませていただいてます…!羨ましいなんて光栄です(⑉・ ・⑉)ありがとうございます、頑張ります! (3月19日 19時) (レス) id: fba0c75805 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 初めてのコメント失礼します、とても書き方が好みでさらさら読めます!両性向けはすごいですよ!わたくしには無理な芸当ですね、羨ましいです。これからも無理せずに頑張ってください! (3月19日 19時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
推しを推してけ(プロフ) - あるまじき存在ではないアルマジロさん» ご期待に添えて良かったです(՞ ¨̮ ՞)こちらこそ素敵なリクエストを提供していただきありがとうございました! (3月9日 10時) (レス) id: fba0c75805 (このIDを非表示/違反報告)
あるまじき存在ではないアルマジロ - お待ちしてましたぁ〜! これだ、私が見たかったのはこれですッ!もう読んでいるうちに、夕日で照らされている二人と教室が目に浮かんできました!絶対あのTordって奴は、何かしら企んでるんですよねぇ〜 でも、それがいい! 書いて下さりありがとうございます! (3月9日 7時) (レス) @page14 id: d9deafb208 (このIDを非表示/違反報告)
推しを推してけ(プロフ) - あるまじき存在ではないアルマジロさん» とてもいいシチュエーションですね…提供ありがとうございます。今書いてるものを書き終わったら書こうと思います! (2月23日 3時) (レス) id: fba0c75805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:推しを推してけ | 作成日時:2024年1月6日 21時