Patryk ページ14
ここでは当たり前のように包帯を巻いている人や湿布を貼っている人が後を絶たない。自分もその内の1人で毎度傷を覆っている。放っておけば治るものなのですっぽかしているけど
「A、その傷…消毒をした方がいい。悪化してしまう」
あまり喋らないPatrykが口を開いた。名前も初めて呼ばれたので覚えててくれたんだ、と驚く。普段口を交わすことはなく、無口なので勝手に自分の中で怖い人認定していた。彼が驚くほど自分は傷だらけなのか。傷を応急処置したってまた戦って傷を覆うのだから意味がないだろうに。大丈夫、心配いらない、と言ったが彼は聞いてくれなかった。すぐに救急箱を持って消毒され、絆創膏やら湿布を身体中にベタベタ貼られた
「これで良い。なんで傷口が深いのに手当しなかったんだ?もしかしていつもそのままにしてるのか」
感の鋭い彼に気づかれてしまった。確かに傷口が深いのに全く治らなかったら気づくのも同然だ
「失ったものは元には戻せないだろ。そうなる前に自分の体を大切にしてくれ」
彼は口下手だが本当に自分のことを心配してくれているようで少し嬉しくなった。そんな事を話していたら、また手の傷口から血が溢れてきた
「嫌なら除けてもいいから」
彼はそう言うとこちらの指を口に含んだ。急すぎる行動だったので驚いた。溢れていた血を丁寧に舐め取られ、気づいた時にはもう傷口の血は止まっていた
「いや……その、唾液には止血効果があるって聞いて。傷の治りが早いんだ」
彼が勝手にやったことなのに赤面するので段々と自分も恥ずかしくなってきた。ハンカチで丁寧に拭いてくれて、ようやくありがとうの言葉だけを言えることができた
「礼なんていい。戦う仲間なんだ。仲間を支え合うなんて当然のことだろ」
そう言ってどこかへ行ってしまった。彼の頼もしい背中を見送る。まだ次の任務が残ってるらしい。今回のことをきっかけに彼の不器用な優しさに気づくことができた。また傷が増えたら彼は自分を気にしてくれるのかな、なんて悪いことを考えてしまった
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推しを推してけ(プロフ) - さとうみさんさん» さとうみさん!!いつも陰ながらEWの短編集読ませていただいてます…!羨ましいなんて光栄です(⑉・ ・⑉)ありがとうございます、頑張ります! (3月19日 19時) (レス) id: fba0c75805 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 初めてのコメント失礼します、とても書き方が好みでさらさら読めます!両性向けはすごいですよ!わたくしには無理な芸当ですね、羨ましいです。これからも無理せずに頑張ってください! (3月19日 19時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
推しを推してけ(プロフ) - あるまじき存在ではないアルマジロさん» ご期待に添えて良かったです(՞ ¨̮ ՞)こちらこそ素敵なリクエストを提供していただきありがとうございました! (3月9日 10時) (レス) id: fba0c75805 (このIDを非表示/違反報告)
あるまじき存在ではないアルマジロ - お待ちしてましたぁ〜! これだ、私が見たかったのはこれですッ!もう読んでいるうちに、夕日で照らされている二人と教室が目に浮かんできました!絶対あのTordって奴は、何かしら企んでるんですよねぇ〜 でも、それがいい! 書いて下さりありがとうございます! (3月9日 7時) (レス) @page14 id: d9deafb208 (このIDを非表示/違反報告)
推しを推してけ(プロフ) - あるまじき存在ではないアルマジロさん» とてもいいシチュエーションですね…提供ありがとうございます。今書いてるものを書き終わったら書こうと思います! (2月23日 3時) (レス) id: fba0c75805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:推しを推してけ | 作成日時:2024年1月6日 21時