早く帰ってください ページ43
固まる私と、ウォヌ。
……私の、元彼
それに挟まれて、交互に私たちを見るジョンハンさん
……まずい。ほんとにまずい。
目を合わせるのすら嫌になってきて、とりあえず視点をカウンターの目の前に座ってるジョンハンさんに移した。
『いらっしゃいませ、どうなさいますか?』
決して目は合わない接客だけど、何事も無かったかのように接さないと気が狂いそうで仕方なかった。
上の方に書かれたメニューを、眼鏡をしているのにも関わらず目をしかめて見るその姿
相変わらず目が悪いな、なんて思った時には 既に手元で見れるメニュー表を差し出していた
WN「ありがとう」
素っ気いない感じで感謝するその声は、私がする他人のフリに合わせてる様で
「……じゃあ、アイスアメリカーノ1つ…と
チョコケーキ、1つください」
『かしこまりました、お持ち帰りですか?ここで食べていかれますか?』
WN「持って帰ります」
……よし。
思わず安心してガッツポーズをしそうになるも、後ろを向いてアイスコーヒーを作る。
カップに氷をいれている間、刺さる2つほどの視線。
こういう気まずい空間でこそ”ねぇ、俺のカップケーキまだ?”とか口を挟んでくれそうな気がするジョンハンさんが、空気を読んでるのかやけに静かで。
どんどん気持ちに余裕が無くなっていってるのが嫌でも分かった。
出来たアイスコーヒーと、ショーケースから出したケーキを紙袋に入れる
『はい、お会計12300ウォンです。』
カルトンに置かれた丁度のお金をレジにしまって、袋を渡す
それがこの地獄みたいな空気が終わってくれるというサインだと、思ってたのに
WN「……元気にしてる?」
……なんでいつも、君は予期せぬところで口を開くんだ。
『見ての通り』
見たらわかるだろ?なんて強い口調で返さなかっただけまだマシだと褒めて欲しいぐらい。
その言葉は単なる”how are you?”ってよりも
(俺にフラれたけど)元気にしてる?って意味にしか思えない。
WN「……そう、ならよかった」
早く帰ってくれと思えば思うほど時間が長く感じるのかもしれない
既にもうここから抜け出したいぐらいなのに
WN「…後でちょっと、時間ある?」
……彼はまだ、話す要件があるみたいだ
無いと言えばすぐ済むって分かってるのに
そう言えばすぐ理解してくれる人だっても知ってるのに
色んな感情が溢れ返って言葉が出ない
息を吸おうにも空気ばかり飲んでしまって
”まだ一緒にいたい”って言おうとしたときと同じ感覚
”これ以上一緒にいたくない”って言うはずなのに
???「チャギヤ〜、ごめんね遅くなった。」
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作者名:月紗? | 作成日時:2022年10月16日 23時