White sugar Black coffee (ページ38)

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何をそんなにお迷いで？ページ38

その後もちょっとした言い合いなんかをしつつ、本屋さんに寄ったり雑貨屋さんに行ったりとゆったり時間を過ごして

今は店長、およびジスさんと映画館内で飲むドリンクを選んでいる。

私は既に、Lのコーラを選んでジスさんを待機中。

当の本人はメニュー表とにらめっこしながらかれこれ5分はそのままの状態。

『何をそんなお迷いで。』

「ん〜…このチョコドリンクにするか、普通にコーラにするか悩んでるの。。
コーラはいつでも飲めるしこっちは期間限定だからこっちにしたいんだけど… 今すっごいコーラ飲みたくて……ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ」

……たった1本の映画を見るだけなのに、真剣に考えこんでいるジスさん。

どこか、その姿がすごく可愛らしく見えて。

＿あなたならチョコドリンクだって、作ろうと思えばすぐ作れちゃうでしょう？

だなんていう言葉は1度飲み込んだ。

その代わりに、本気で迷いながら唸るその姿を、ほんの出来心でこっそり自分のスマホの中に収めて。

『ジスさんがよろしいならこれ、コーラなんで一緒に飲みませんか？
もちろんその…気になる事とかは防ぐので』
普段ならきっと言えないであろうその言葉を、償いの代わりに口に紡ぐ。

すると椅子に座っている私の方をぱっと向いて”いいの〜？じゃあそうする！”だなんて花が咲いたような笑顔でレジに向かった彼。

……気になる事の意味が、ちゃんと伝わってたかは分からないけど。
・

「楽しみだね、」

『はい、凄く。』

「見た感じロマンス映画みたいだけど、Aちゃんがこういうの観るの意外だね？」

『……ははは笑、 (貰いもんだとか言えない…)』

照明も落とされて、一緒に座りながら楽しみだなんて言う。
ジスさんの方は既に、嬉しそうにチョコドリンクを堪能しているみたい。

彼の言う通り、ジョンハンさんがくれたのは洋画のロマンス映画のチケットで。

普段ホラー系かSF系しか見ないからこそ、私も気になっている。

「コーラくれる代わりにどうぞ」

『うっ……甘』
真っ暗なのをいい事に、上に乗ったクリームを先がスプーンみたいになっているストローですくって口に突っ込んでくる店長に惑わされつつも、今から始まる映画に期待を寄せた。

＿＿＿＿

『……はー。。』

空のコーラのカップと、を手にシアターから出る。

「や～、楽しかったね〜」
『はい、すごく楽しかったです。』

見終えてから余韻に浸るだけで、さっきまで目に焼き付けていた映像が鮮明に蘇ってくるほどの感動。

ロマンス映画も悪くないな、だなんて思いながら横を見ると見えたジスさんの顔も、心做しか少しだけ幸福感がプラスされている様に見えた。