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『、そんな事…ないです』
「じゃあ、なんでもう、鞄なんか握っちゃってるの」
その言葉を言い終わった途端、彼の目の色が明らかに変わった気がして
見た事がないような目付きでギッと私を射止める
それにすごく怖くなって、絡め取られた手を置いて後ずさりをした
不安だったからか、無意識に肩にかけてぎゅっと手で掴んでいた鞄は 紐がだらりと肘まで落ちては天使が揺れて
『…これは、その、、早く帰りたい訳じゃなくて、……』
私が後ろに足を引く度、速度を合わせて私に詰め寄る店長
「あぁ、このキーホルダーがそんなにお気に入りなんだね?」
目線も手も距離も 逃がさないとでも言うかのように私をしっかり射止めるから
彼の首あたりに目を落としても 握られていない反対の手でくいっと顎を上げられる
別に、このキーホルダーにやましいことなんて何一つない
ただ、ジョンハンさんがくれた単なる貰い物だ。
なのに、なんで今はそうやって簡単に説明出来ないんだろう
なんで、店長はこんなに怒ってるんだろう
「……Aちゃん、知ってる?
ジョンハンはね、自分が作るキーホルダーに一つ一つ願いを込めてるんだ」
その言葉と共に私の背中がドン、と何かに当たったと思えば
後頭部からかかとまで、後ろは壁にせき止められて。
繋がれた右手は、上に釘を打つかのようにして押し付けられる。
熱が籠った店長の目に、焼き尽くされては 身動きも何も取れなくて
ぶわっと香る店長の蕩ける甘い匂いに、手先が痺れる。
「…ジョンハンが作るキーホルダーは、基本天使1人がお花を抱えてるんだよ
でもね、ほら。Aちゃんのには……2人いる」
「この2人、誰なんだろうね。
Aちゃんと、ジョンハン…なのかな」
反対の手で、そのキーホルダーを掬って ほらなんて言うけど私には見せようとしない
もう、この状況に理解ができないまま、おかしくなりそうだ。
「……こんな、あからさまなキーホルダーは付けるのに、
なんで… 僕があげたネックレスは、着けてくれないの?」
責め立てるような口調で、なのに優しい言い方で
私をここまで追いやったかと思えば、途端に拗ねたような声のトーンと真面目な顔つきに変わる。
『…え?』
「……最近まで着けてくれてたのに、ジョンハンが来てから付けてくれなくなったでしょう」
……ちょっと、ちょっとまって。
「…やっぱり、Aちゃんはハニが好き?」
『……ええ、?』
まって、一旦落ち着いて。
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作者名:月紗? | 作成日時:2022年10月16日 23時