White sugar Black coffee (ページ13)

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衝撃的発言ページ13

そんなことがあってもう数ヶ月。

「Aちゃん、お腹空かない？」

『……そうですね、何か作りましょうか？』

「今日は久しぶりに外で何か食べようと思ってるんだけど、どう？」

店長はいい意味でも悪い意味でも、第一印象とはかけ離れた人で。

実際疑っていた事は何一つ起こらなかったものの、ある意味詐欺だ。
変な人だし、超絶甘党だし、小悪魔だし、意地悪だし。

『…いいですね、行きたいです』

「ずっとAちゃんと行きたかったところがあるんだよね～、じゃあ用意してね～」

でも、ビックリするぐらいお人好しで

『分かりました』

甘い、どろっとした糖を注いでくる所は、何も変わっていない。

あの優しい笑顔で微笑まれてから、急いでエプロンを解いて少しだけ化粧を直す。

「……へぇ、女性ってそういう風にお化粧してるんだね。。」

……まぁ、店長がいない所で直そうとしても店長は着いてくるので品があるかと言われればそうではないけど。

『…店長、もしかしてモテソロですか？』

私がパウダーを塗り直したり、薄くなったリップを重ね塗りしたりしている横で、不思議そうに私の指を追っている店長。

”そんなわけないよ～”という軽いツッコミ待ちで、なおかつちょっとしたいじりを含めてそんなことを言うと

「…そんなわけないよ」と、結構ガチトーンで返されて鏡の前の私も真顔。

鏡越しで合う目を逸らして、リップを化粧ポーチにしまう。

……突然と冗談が通じなくなる店長ほど、怖いものは無い。

「ただ、皆僕の目の前だと泊まりの時ですらお化粧落とさないから……そういうのは見たことなくて」

そんな衝撃的発言に、塗らなくてよかったリップのグロスさえ取り出して追加で塗ってしまった。

…歴代の彼女さんは、この店長のレベルに合わせようと必死だったんだろう。

女性がずっと綺麗でいたいのは、当たり前のことだから。

でも、それを聞いた上で店長の真横で堂々と化粧直しをしていた私はなんなんだ。

ふざけて言ったつもりが、まさかこんなに自分の傷をえぐる羽目になるなんて。

『…引きました？こんなに堂々としてて』

「ううん、？なんで？」

気まずすぎて笑えなくなった私の目は、気づけばまた店長と合っていて。

『……いや、なんとなく』

「どんなタイミングでも綺麗だよ？
…そんな、グロス付けなくてもね」

そうすると、私の首を伝ってからそのままさっき塗ったグロスを親指で拭われた。

「……うん。こっちの方がいいよ。どうせご飯食べるから落ちちゃうしね。
さ、ご飯食べにいこう～！」

……やっぱり、店長は震えるほど怖いことが分かった。