失う彼は別れを知らない ［WN］

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思ったより、言いたいことがまとまらなくて


急に来て、玄関先で言うようなことじゃないって分かってるのに こういう言葉しか出なかった


…思うように言えなかったけど


私の言葉で自分の左手をギュッと握ったウォヌは、少しだけ動揺していた


『………なんでそんなに、震えてるの？』


好きじゃないならもうあわないようにして

フッたなら、縋らないのが普通でしょう


…なんで、そんなに弱ったように見せるの？


『…、』


フラれたのは私なのに

なんで……また私を抱きしめるの？



『……やめ、って……ねぇ』


私が必死に肩を押しても、ぴくりとも動かないウォヌ

離れられない強さなのに 次は必死に私が離れるのを引き止めてるみたいで

やっぱり前みたいなハグなんて、出来っこないんだ




「…俺の事、自分勝手って思ってる、？」




『何言って、』






そんな言葉が聞こえて


一瞬 彼の肩に置いた手の力が抜けてしまった




顔は見えないけれど

凄く、怖くて、悲しくて、憎んでいて分からないけど

その声が、何か助けを求めているように感じてしまった

その声がか細く、消えてしまいそうだと思ったから



震えたウォヌの声帯

彼はこんなに 感情が篭もる声だったっけ

『……ふざけないでよ、』




押し返そうとした手が、だらりと下に落ちては宛もなく彷徨う



後頭部に手をやられては

拒んだはずの彼の匂いがだんだん染み付いてきて、目眩がしてくる





「Aの事、沢山傷付けてる
俺の事で困らせること、沢山してる」

『、分かってるなら……』




私にも理解ができないような怒りが込み上げてきて

どうしようもないぐらい心臓がはち切れそうで

その先の言葉を言って突き放そうとしたのに



手で再び押そうとした彼の肩が 急に脆く感じる

このままだと粉々になって消えそうだなんて思うと、押せなくなってしまった




「分かってる、ほんとごめん……」

ねぇ、ウォヌ 泣いてるの？

なんで私に縋り付くような真似するの？




私の肩に顔を押し付ける彼の姿は、一緒に居た時1度も見た事がなかった姿だった。

それは、本当の姿なのか

貴方が私にずっと隠してきた姿なのか

今になって惜しくてそう言っているのか



自分の足で地に立って 弱音を一切吐かなかった彼は今

顔を隠して私の首元で、静かに行かないでって呟いている

壊れるほどキツく抱きしめられているのに 込められた力は本当に情けなくて



『……先に行ったのは、ウォヌなんじゃん』

体に感じる重みにただ、混乱させられていくだけだった

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